常備菜でパパっと夏ごはん[第1回]

和洋アレンジ可能な
パプリカのマリネ

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「傷みにくい」がポイント

 常備菜は、1回作れば数回分のメニューになります。冷凍保存をしておけば、食材が無いときにさっと料理を用意できることも嬉しいポイント。さらに、「アレンジしやすい」常備菜なら、さまざまな料理に使うことができます。

 料理サイトなどで「常備菜」と検索すると、いろいろなレシピが出てきます。中でも多いのは「野菜などをおだしで煮(た)く」というもの。

 けれど夏の冷蔵庫は、思いのほか環境が良くありません。気をつけていても雑菌が繁殖しやすく、水分が多く味が薄いものは、うっかりしていると一日で傷んでしまうことも。

 食中毒を避けるためにも、夏場は特に、保存性が高い常備菜を作ることをおすすめします。水をなるべく加えないもの、塩分が強いもの、油などでコーティングするもの、そして冷凍がきくもの。こうしたことに注意して作りましょう。

パプリカのマリネを作る

 それではこの夏、ぜひおすすめしたい常備菜のナンバーワン、「パプリカのマリネ」をご紹介します。

 パプリカは、唐辛子の仲間。日本で一般的に売られているパプリカは肉厚で甘く、苦みが少なく辛味も感じません。ビタミンが豊富で、ビタミンA、C、Eが豊富です。加熱してもビタミンが損なわれにくく、しっかりとした加熱が基本の常備菜には、うってつけの食材です。
 今回は、パプリカのマリネを3種類ご紹介します。

1:オーブントースターで焼く酸味のあるマリネ


【材料】(作りやすい量)
 パプリカ(赤・黄)……各1個
 塩……1〜2つまみ
 オリーブオイル……適宜
  ※パプリカがたっぷり浸る量

 

[マリネ液]
 白ワインヴィネガー……大さじ1〜2
  ※好みの酢でも可
 砂糖……小さじ1
  ※蜂蜜でも可
 白胡椒(ホール)……4〜5粒

【作り方】

[1]
 パプリカを切ります。半分に切ってから、へたと種、白いわたの部分をきれいに取って、1cm程度の幅で切ります。レストランなどで作るときは上下を切ってきれいな長方形に揃えますが、家庭の場合そこまでする必要はありません。ゴミにしないで、端っこまでおいしくいただきましょう。

[2]
 オーブンシートを敷いたバットにパプリカを並べ、塩を1〜2つまみしたらオーブントースター、あるいはオーブンで焼きます。温度調節ができるものなら、様子を見ながら200℃〜230℃で15分ほど焼きます。余熱をしなくても問題ありません。焦げ目を付けたいならオリーブオイルを大さじ1〜2かけ回します。オイルをかけなければ、焦げ目は付きにくいです。お好みで。

[3]
 マリネ液の材料を混ぜておき、ボウルなどでパプリカを軽く和えます。パプリカを焼いたときに残ったオリーブオイルを加えてもかまいません。

[4]
 パプリカをマリネ液ごと容器に入れ、上からひたひたになるまでオリーブオイルを注いでできあがりです。

2:オーブントースターで焼く、スパイスがきいたマリネ


【材料】
 パプリカ(赤・黄)……各1個
 クミン……お好みの量を
 キャラウェイ……お好みの量を
 塩……1〜2つまみ
 オリーブオイル……適宜
  ※パプリカがたっぷり浸る量

 

[マリネ液]
 塩(マリネ液用)……小さじ1/2
 レモン汁……1/3個分
 レモンの皮……適宜

【作り方】

[1]
(上記[1]参照)

[2]
 オーブンシートを敷いたバットにパプリカを並べ、塩を1〜2つまみ、さらにお好みのスパイスを振りかけます。今回はクミンとキャラウェイを使いました。スパイスをきかせたい場合、オイルを大さじ1~2かけて焼くと香りが出やすくなります。

 オーブントースター、あるいはオーブンで焼きます。温度調節ができるものなら、様子を見ながら200℃〜230℃で15分ほど焼きます。余熱をしなくても問題ありません。

[3]
(上記[3]参照)
[4]
(上記[4]参照)

3:ガスの直火で焼く香ばしいマリネ


【材料】
 パプリカ(赤・黄)……各1個
 オリーブオイル……適宜
  ※パプリカがたっぷり浸る量

 

[マリネ液]
 塩……1つまみ
 クミン……小さじ1〜2(お好みで)

【作り方】

[1]
 ガステーブルの上に網を置き、直火で焼きます。あらかじめ、竹串やフォークなどを刺して、膨張する空気の逃げ道を作っておきます。
 網は下皿が付いた魚焼き網でもかまいませんが、魚の臭いが付いていないものを使いましょう。表面の皮が真っ黒に焦げるまで焼きます。

[2]

 水を張ったボウルの中で、表面の焦げを指などでこそげ取ります。熱々でなく、手で持てる温度まで待っても大丈夫です。焦げがあらかた取れたら、へたと中の種、わたを取り、1〜1.5cm幅に切ってキッチンペーパーなどで水気を拭きましょう。

 皮がないので上記2つのレシピで焼いたパプリカより食感が柔らかくなるため、その分、幅広に切ります。

[3]
(上記[3]参照)
[4]
(上記[4]参照)

 1~3のレシピともに、[4]の工程は、蓋のできる容器を「食品用」の表示がある除菌アルコールで消毒してください。蓋付きのガラス瓶で保存する場合、煮沸消毒でもかまいません。
 冷蔵庫で1週間ほど保存できますが、すぐに食べきらない場合は冷凍しておきましょう。

アレンジ1:トーストにのせて野菜たっぷりの朝食に

 オーブントースターで食パンを焼き、その上に冷蔵庫から取り出した冷たいマリネをのせていただきましょう。香りがついたマリネのオイルを少しパンに垂らしてもいいでしょう。一緒にツナ缶やクリームチーズなどをのせてもいいと思います。味が薄ければ塩をぱらり、コクが欲しければ少しマヨネーズを。

 冷蔵庫で一晩抽出した水出しコーヒーを添えれば、たったの10分で素敵な朝ごはんに。

アレンジ2:あっという間に冷やし味噌汁!

 朝は和食派、という方には、「冷たい味噌汁」はいかがでしょう。

 おわん1杯の氷水に白だしを小さじ1/2〜1くらい加え、味噌を溶きます。そこにパプリカのマリネを加えてできあがり。お好みでハーブを少し散らしてもいいでしょう。オリーブオイルはスッキリした味で、お味噌との相性もなかなかのものです。冷たいお味噌汁は食欲も増してくれます。白いごはんとお漬物だけで、おいしい朝ごはんの完成です。

 パプリカのマリネはそのまま食べても、ごはんのおかずにもお酒のつまみにもぴったり。肉や魚を焼いてその付け合わせにしてもお皿の中が華やかになります。お好みで漬け込む油をサラダ油や太白ごま油などにしてもいいでしょう。ごま油で漬け込んだマリネを豚肉とさっと炒め合わせたり、いろんなレシピで楽しんでください!


レシピ考案・文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
撮影◎大西尚明
スタイリング◎吉田千穂

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