毎日食べたくなる簡単スープ生活[第4回]

ハンディブレンダーで簡単ポタージュ

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「ポタージュ」という言葉はフランス語で「とろみが付いたスープ」という意味。鍋を意味する「pot」から派生した言葉です。

 本来、裏ごしにとても手間がかかる料理でした。いまではミキサーを使うことがほとんどです。そのあと、ざるなどで漉すことできめ細かくするのですが、さらに便利な「ハンドブレンダー」と呼ばれる道具があります。「バーミックス」という商品名で呼ばれることもあります。手頃な価格のものが様々なメーカーから発売されています。食材をすり潰す先端部のアタッチメントが金属製のものを選べば間違いないでしょう。

 茹でたり煮たりした食材をこのハンドブレンダーにかけると、滑らかにすり潰してくれます。その後、ざるなどで漉してもいいのですが、少し時間をかければ、そのまま食べてもいいくらいに滑らかになります。

焼きタマネギとショウガのポタージュ

 そんなブレンダーを使って、ポタージュを作ってみましょう。まずは、焼きタマネギとショウガのシンプルなポタージュです。新タマネギが手に入れば、焼かずにそのまま使っても良いでしょう。

【材料】(約4人分)

  • タマネギ
    4個
  • ショウガ
    30〜40g
  • オリーブオイル
    適宜
  • 牛乳
    500cc

  • 適宜
  • 胡椒
    適宜

【作り方】

 タマネギを皮付きのまま縦半分に切ります。オーブンシートを強いた天板に並べ、塩をぱらりとかけてからオリーブオイルをかけ回し、オーブンやオーブントースターで、200℃で30分〜45分、火が通るまで焼きます。このタマネギのローストは、シンプルですがとても美味しい料理で、そのまま焼きたてをメインディッシュに出してもいいくらいです。

 タマネギを焼いている間に、ショウガを繊維に垂直にスライスします。新ショウガの場合は必要ありませんが、ひねショウガなら鍋に水とともに入れて火をかけ、沸騰したらゆでこぼします。これを2回繰り返しましょう。この過程をやらないと、かなりショウガ辛いスープになります。
 焼けたらオーブンから出して、冷ましてから皮と根の部分を取り除き、白い部分をざく切りにしておきます。

 鍋にオリーブオイルを入れ、タマネギとショウガをさっと炒めます。そこで牛乳を加え、弱火でショウガが柔らかくなるまで煮ます。

 煮えたら、ハンディブレンダーのカップに入れ、ブレンダーで細かくすり潰します。一度にカップに入りきらない場合は、2〜3回に分けてすり潰しましょう。ポタージュが濃すぎるようなら、牛乳を加えて濃度を調整しましょう。

 塩を加え、味を調整してできあがりです。器に盛ってから、胡椒を挽きましょう。白い見た目にしたければ白胡椒、色味のアクセントを付けたければ黒胡椒で。上にチャイブや細ネギなどをあしらってもいいでしょう。

◎できあがり

 濃い味が好きな方は、固形スープを少し加えて煮てもかまいませんし、まろやかな味が好きな方は牛乳の量を増やしても良いでしょう。牛乳を使わずに、水で煮るのもストレートにタマネギやショウガの味が出て面白いと思います。
 ショウガの量、牛乳の量、タマネギの量は好みで変えてかまいません。ショウガがうんときいていて辛いものが好きな方、タマネギの甘みが好きな方など、好みはそれぞれです。温かくしても、冷たくしても美味しくいただけます。

キノコのポタージュ

 続いては、生のブラウンマッシュルームと、手に入りやすい乾燥のポルチーニ茸を使ったポタージュ。他のキノコでもかまいませんが、乾燥ポルチーニは香りが良く、味も濃いのでお勧めです。赤ワインと相性がいいと思います。前菜としていただいて、メインは鴨のローストでも作れば、立派なごちそうディナーです。

【材料】(4人分)

  • ブラウンマッシュルーム
    2パックくらい
  • 乾燥ポルチーニ
    10g程度

  • 100cc
  • オリーブオイル
    大さじ1

  • 適宜
  • 牛乳
    400cc

【下ごしらえ】

 ポルチーニはかるくゴミなどを取り除きます。天然の乾燥ポルチーニにはゴミや砂が付いていることがありますが、香りが飛んでしまうので水洗いをしてはいけません。それを、水に浸けて5時間ほど、そのままにしておきます。干し椎茸を戻すのと同じです。

 戻ったら、ポルチーニの旨みと香りがしっかり出た茶色い水は、ペーパーフィルターやガーゼなどでこします。ポルチーニは小さく刻んでおきましょう。

【作り方】

 スライスしたブラウンマッシュルームをオリーブオイルで炒めます。炒めるとマッシュルームが汗をかいて、水分が出てきます。さらに炒めると、マッシュルームがすぐに水分を吸い直します。そのタイミングでポルチーニを入れ、さらに戻し汁を入れて沸騰させます。

 牛乳を加え、弱火で火を入れます。沸騰させないようにまぜながら温めたら火を止めて、ハンディブレンダーですり潰します。塩で味を調えてできあがり。もしぬるいようなら、鍋に戻して少し温め直しましょう。

◎できあがり

 器に盛ったらスプーンを添えて召し上がれ。
 彩りに、玄関ハーブのセルバチコをトッピングしました。好みで胡椒を挽いてもいいでしょう。このポタージュは、キノコを多めにして牛乳の代わりに生クリームを使って濃く作れば、牛肉でも鶏肉でも鴨などでも、焼いた肉のソースとしてぴったりです。

レタスの冷たいポタージュ

 最後は火を使わずに作れる冷たいポタージュです。材料は、なんとレタスと牛乳、塩のみというシンプルさです。

【材料】(約4人分)

  • レタス、またはサニーレタス
    1/2玉
  • 牛乳
    300cc程度
  • 塩・胡椒
    適宜

【作り方】

 レタスを細かくちぎり、器に入れたら200ccほど牛乳を加え、ハンドミキサーにかけます。水分が足りないようならさらに牛乳を加えながら、完全にすりつぶしたら塩を加え、味を調えて出来あがりです。器に盛ってから胡椒をぱらりと挽いてもいいでしょう。

◎できあがり

 もしレタスの青い香りがあまり好きでないなら、先にチキンコンソメのスープなどでさっとレタスを煮てからでもいいでしょう。

 ポタージュは牛乳や生クリームをベースにしたり、コンソメなどのスープを加えるとより複雑な味わいになります。けれど、食材の甘みや旨みを引き出せれば、シンプルに作って塩で味を調えるだけで十分に美味しくいただけます。まずはシンプルに作ってみて、足りなければ要素を増やしていく作り方の方が楽しいと思います。


文・レシピ◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
撮影◎大西尚明
スタイリング◎吉田千穂

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