みなさんのご家庭で、豚汁はどんな「顔」をしていますか?
多くのお家で作られているのは、薄切りの豚肉とジャガイモ、ニンジン、ゴボウなどを刻んだお味噌汁だと思います。ところが、いろんな人に聞いてみると、使われる具にはかなり違いがあるようです。
例えば、おいも類。ジャガイモ、里芋、ジャガイモと里芋、サツマイモなどなど、地方性ではなく、その家庭ごとに「好み」や「家庭の味」があるようです。
カレーの標準的な具「ニンジン、ジャガイモ、タマネギ」でつくる豚汁。こんにゃくや干し椎茸が入る煮物的な豚汁。ズッキーニやブロッコリーなどの西洋野菜が入る豚汁……。豚汁の世界は広大です。
豚汁は「だし」も不要
そんな豚汁、基本の作り方はとても簡単です。多めに作ると美味しいのですが、1人前からでも作れます。お椀1杯の豚汁を作るには、豚肉を含め、自分が入れたい具をお椀に1杯用意します。
例えば、里芋、こんにゃく、ニンジン、ゴボウなどを1口大に切って、お椀に入るだけを用意し、それを鍋でさっと炒め、お椀1杯の水を加え、蓋をしてひと煮立ち。具材に火が通ったら味噌を溶いてできあがりです。
2人分ならそれを倍に、4人分ならさらにその倍に、と考えていけば良いのです。鰹や昆布でだしを取る必要もありません。豚肉と野菜などの具材からちゃんとだしが出るからです。
和食は旨み、といいますが、鰹と昆布のだしをわざわざ取らなくても、食材からきちんと旨みが出るのです。
そんな中で、今回は2つの豚汁の提案をします。ひとつは、お酒のつまみにもなるような、がっつりしたお肉の豚汁です。ひとつめの豚汁は、メインはなんと骨付きの豚スペアリブです。
【材料】(4人分)
- 豚骨付きスペアリブ
8本 - レンコン
1節の1/2くらい - 大根
1/3本 - こんにゃく
1枚 - 里芋(磨きで可)
6〜8個 - 絹さやまたはインゲン(トッピングの青み用)
- 水
全体がかぶる程度 - 食用油
大さじ2 - 生姜のすりおろし
大さじ2 - 味噌
適宜
【下ごしらえ】
レンコン、大根は乱切りにします。好みで、皮を剥かなくてもかまいません。レンコンはアクが出やすいので、切ったらすぐに水にさらしましょう。これを怠ると、煮込んだ後で豚汁の色が悪くなります。アク抜きせずに作った豚汁は、翌日になると不気味に変色しますのでご注意を。
里芋は剥いた「磨き里芋」でもかまいません。皮付きを使うなら、六方に剥きましょう。甘みが欲しい方はタマネギを櫛形に切って加えると良いかもしれません。
こんにゃくはスプーンか手でちぎって、塩小さじ2(分量外)ほどを加えて軽くもんでから5分おき、沸騰したお湯で2〜3分下茹でして、アクを抜きます。アク抜き不要のこんにゃくなら、そのままちぎるだけでかまいません。
【作り方】
鍋に油を入れ、豚のスペアリブの表面を焼きます。中火くらいで、表面に焦げ目が付くくらいまで焼くと香ばしくなります。
そこに青み用以外の野菜類とこんにゃくを加え、全体をざっくり炒めたら、ひたひたになるくらいまで水を入れます。ガスの火は弱火〜とろ火で。
とろ火だと1時間半〜2時間くらいかかりますが、アクがあまり出ません。弱火〜中火だと沸騰は早いですが、あくが出やすいので、こまめにアクを取る必要があります。
豚肉が柔らかくなったらおろし生姜を加え、味噌を溶いてできあがりです。味噌の量は、お使いの味噌の塩分や味の濃さで調節しましょう。
まるごとトマトの野菜たっぷり豚汁
続いては、湯むきしたトマトがまるごと入った豚汁です。トマトなどの洋野菜は、案外味噌に合います。トマトは特に旨みがたっぷりある野菜。他にも、ブロッコリーやレタス、アスパラなど、トマトに合う野菜を使って豚汁を作ってみましょう。
【材料】(4人分)
- 豚肉
100〜150g - トマト(中玉)
4個 - ブロッコリー
1/4玉 - アスパラ
2本 - レタス
1/4玉 - 味噌
適宜 - オリーブオイル
大さじ1
【下ごしらえ】
豚肉は5mm〜7mmの厚切りにします。薄切りの肉でもかまいませんが、厚みがあるほうが、ごちそう感がまします。
トマトはへたの部分をくりぬき、お尻の皮に十字の切れ目を入れて沸騰したお湯に10〜15秒入れます。
ボウルの中にためた水に取ると、切れ目から、皮がつるんと剥けます。
ブロッコリーは小房に分け1口大に。アスパラは斜め切り、レタスも1口大に手でちぎります。
【作り方】
オリーブオイルを入れた鍋を温めて、豚肉を焼き付けます。表面に焦げ色が付いたほうが、香ばしくなります。
堅い野菜を入れてさっと炒めてから水を入れ、弱火で火を入れます。スペアリブほど肉が大きくないので、20分ほど煮ればいいでしょう。
味噌を溶いたらレタスを入れ、さらに湯むきしたトマトを沈めて5分。トマトが温かくなればできあがりです。あまり煮すぎるとトマトが崩れてしまいます。器に盛って、食卓へ。オリーブオイルをかけ回したり、胡椒を挽いても美味しくいただけます。
今回は、そのままおかずや酒のつまみになる豚汁、というコンセプトで大ぶりの具で作ったものを紹介しましたが、逆に「具を小さく切る」豚汁も面白いと思います。豚肉も1cmくらいにころころと切って、茄子や里芋、レンコン、こんにゃく、1cmの小口に切ったネギ、さらには小口に切ったオクラなどを具材にした豚汁も、食べていて楽しくなります。食味の切り方や大きさを変えることで「いつもの豚汁」から「ごちそう豚汁」に進化します。
忙しくて朝食を作る時間が取れない方も、多めに作っておいて、翌朝、ごはんに豚汁をかけた「ぶっかけごはん」にするのもひとつの手です。バラエティ豊かな豚汁を作りましょう!
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