毎日食べたくなる簡単スープ生活[第2回]

冬にぴったり! あつあつあんかけワンタンスープ

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 とろみがついたスープを食べると、身体の芯から温まってほっこりしますよね。温かいコーヒーを飲むと体温が2℃上昇し、それが20分程度持続するのに比べ、とろみがついたスープの場合、2時間ほど維持できるという実験結果があります。

 このとろみは、主に水溶き片栗粉でつけるもの。中国料理でよく使う技法です。というわけで、朝でも夜でも美味しく食べられる、とろみスープをご紹介しましょう。

ネギショウガがあれば中国料理っぽくなる!

 ただとろみをつけるだけでは、なんとなく物足りない味になります。そこで、ネギとショウガをふんだんに使います。ネギとショウガは、じつは中国料理の基本といってもいい食材。
 チャーハンを作るときにも、最初にネギとショウガを油で炒めることで、ただの炒めごはんが中国料理に大変身するのです。

 そんなネギとショウガは、寒い冬にぴったりの食材。ネギの白い部分に含まれているアリシンは、血行をよくして、身体の末端部分を温めてくれる効果があります。
 ショウガに含まれているジンゲロールやショウガオールという成分も、同じく血行をよくする効果があり、さらには抗菌作用や抗酸化作用、胃腸の活性化など、とても優れた食材なのです。
 ネギとショウガをたっぷり使えば、プロの中国料理風の味になるだけでなく、身体を温める効果もさらに高まるというわけです。

ワンタンはたくさん作って冷凍保存!

 今回は、ワンタンスープを作ります。ワンタンの皮は30枚〜50枚単位で売られていますから、肉だねを包んで冷凍保存しましょう。使いたいときに冷凍庫から出して、そのまま茹で上げたり、スープの中に投入したりするだけでOKです。

【材料】

  • ワンタンの皮
    1パック
  • 豚ひき肉
    100g

  • ひとつまみ
  • 醤油
    小さじ1/2
  • ネギ
    15cmくらい
  • ※みじん切りに(体積で豚挽肉の1/3〜1/4くらいを目安に)
  • ショウガ
    1片
  • ※みじん切りに(体積で豚挽肉の1/3〜1/4くらいを目安に)
  • 紹興酒(料理酒でも)
    小さじ1
  • ごま油(好みで)
    ひとたらし

【ポイント】

  • 肉だねの材料をよく混ぜます。最初に豚肉に塩を加えて練ると粘り気が出てなめらかな仕上がりになります。肉感を重視するなら全部の材料を一度にボウルに入れて軽く混ぜるだけにしましょう。

【作り方】

ここでは3種類の包み方をご紹介します。

包み方1:簡単な三角包み

 ティースプーン1杯分くらいの具を皮の真ん中にのせ、皮の端に水を付けて三角に折り、密着させる簡単な包み方です。ワンタンは肉だねより皮のなめらかな食感を楽しむものなので、肉だねは少なめの方が美味しく仕上がります。「ケチが作る方がワンタンは美味しい」なんていう人もいるくらいです。

包み方2:端を寄せてつまむように

 三角包みの要領で皮を包みますが、頂点を少しずらして接着し、両端を中に織り込むようにして仕上げます。肉だねが丸まり、茶巾のように包んだ形になります。

包み方3:帽子包み

 三角包みをした後に底辺の二つの角をつなげるように包みます。皮の接着に、水を付けて。

 3種類、どの包み方もそれぞれ楽しい食感になります。ポイントは、肉だねと皮の間に隙間を作らないようにすること。空気が入っていると、茹でたときに膨らんで皮が破けてしまうことがあります。

野菜たっぷりのスープで仕上げましょう!

 それでは、スープを仕上げていきましょう。あっさりしたスープも美味しいのですが、今回は白菜をたっぷり入れた具だくさんのスープにします。

【材料】(4人分)

  • ワンタン
    15〜20個
  • ※ひとり4〜5個見当
  • ショウガ
    みじん切り 1片
  • 長ネギ
    みじん切り 1/4本 斜め薄切り 1本
  • 生椎茸
    3〜4つ スライスに
  • ザーサイ
    1/4個 スライスに
  • 鶏ガラスープ(顆粒でも可)
    500cc
  • 食用油
    大さじ3

  • 適宜
  • 紹興酒または料理酒
    大さじ3
  • 醤油
    大さじ2
  • 水溶き片栗粉
    適宜
  • 純正ごま油(好みで)

 今回は、手軽に作れることを考えたシンプルなスープにしました。片手の北京鍋でスープを作り、そこでワンタンを茹でてしまう方法です。別鍋にお湯を沸かして茹で上げたワンタンを入れてもいいのですが、お鍋ひとつで作れるほうが気楽です。
 中華鍋でなく、一般的な鍋でもかまいません。

 白菜と長ネギ・生椎茸を使いますが、好みの野菜を入れてもOKです。野菜の大きさを揃えて切ると美味しさがアップします。水で戻したキクラゲなどを入れるとぐっと本格的になります。
 ひと手間増えますが、干し椎茸を戻して、顆粒の鶏ガラスープをその戻し汁に溶いてもいいでしょう。

【作り方】

 鍋に食用油を入れて中火程度で熱し、みじん切りにしたショウガと長ネギを入れて炒めます。油にネギとショウガの香ばしい香りを付けるためです。そこに斜め切りにしたネギ、スライスした椎茸とザーサイを入れ、かるく炒めてからスープを注ぎます。沸騰して野菜に火が通ったら、調味料を加え、味を見ます。

 スープが沸騰しているところに、くっつかないようにばらばらにワンタンを入れます。1〜2分でワンタンに火が通ります。別鍋で茹でるときは、沸騰したお湯に入れ、浮き上がってきたらすくってスープの中に入れると良いでしょう。

 水溶き片栗粉を加え、全体を優しくかき混ぜ、沸騰してとろみがついたらできあがりです。仕上げに、好みでごま油をひとたらしするのもお勧めです。

包むのが面倒なときは
肉団子とワンタンの皮のスープに!

 ワンタンを包むのが面倒くさいという方は、肉だねをスプーンにとってそのまま鍋に落とし、肉団子スープにしてしまう手もあります。

【材料】(肉団子のたね)

  • 挽肉(鶏または豚)
    200g
  • ショウガ
    みじん切り1/2片
  • 長ネギ
    みじん切り1/2〜1/3本
  • いりごま
    小さじ1〜2(好みで)
  • 塩・醤油
    適宜
  • 紹興酒または料理酒
    小さじ1程度
  • たまご
    1個
  • 片栗粉
    小さじ1

【作り方】

 すべての材料をよく合わせておきます。先に挽肉を塩で粘り気が出るまで揉み込んでおくと良いでしょう。

 ワンタンスープと同じ作り方でスープを作ります。白菜などの野菜を加えて、具だくさんの鍋風にしてもいいでしょう。沸騰したところで、スプーンで掬いながら肉団子のたねを落とします。

 沸騰して肉団子が浮いてきたら、1/3幅に切ったワンタンの皮を散らすように入れます。最後に水溶き片栗粉でとろみをつければできあがりです!

◎できあがり

 ショウガ、長ネギ、ごまの食感が良く、食べていて楽しくなる肉団子です。さらにワンタンの皮がつるつるして、肉を包んだワンタンとはまた違った美味しさです。
 肉々しい料理が好き、という方にお勧めのスープです!


文・レシピ◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
撮影◎大西尚明
スタイリング◎吉田千穂

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