SDGs時代のキッチンづくり[第2回]

在庫管理の応用編&便利グッズ紹介

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同じ種類で分ける「グループ収納」

 前回解説した“引き出し収納”と“縦収納”の基本のルールを押さえた上で、フードロスが出にくい収納テクニックを2つご紹介します。

「まずは、同じ種類の食材をまとめるグループ収納。例えば冷蔵庫の場合、中華系の調味料のコーナーとか、キャベツやレタスなどの葉野菜のコーナー、みょうがやオクラなどの細い小さい野菜のコーナーのように、ご家庭ごとによく使う食材を同じ種類のグループごとに分けて収納します。
 こうすることによって、いちいち使いたい食材を探す必要がなくなるので在庫管理がしやすくなります」

消費期限の近い食材を可視化

「2つ目が、消費期限が近い食材をまとめる方法です。期限が切れそうな食材があるエリアがひと目でわかるようにすることで、『早く使わなきゃ』という意識が芽生えますし、使おうと思った時にすぐ使えます。これによって、使い忘れて期限切れとなり泣く泣く廃棄……ということが減るのです」

 こちらも前回ご紹介したように、冷蔵庫の場合はトレイに入れて“引き出し収納”、冷凍庫の場合はカゴに入れて“縦収納”にします。

 冷凍庫の場合は、ちょっとしたコツがあるといいます。

「冷凍食材は保存期間が長い分、忘れがちになります。市販の冷凍食材で、開封して使い切らない時は、袋のままチャックつきの保存袋に入れます。そして、保存袋に入れた食材だけをグループ分けするのです。こうすると、開封している食材がすぐわかるので、使い切りやすくなります」

 保存袋を使うメリットは他にもあります。

「冷凍食材を開封した後、単にゴムで縛って冷凍庫に入れるだけでは霜がついて食品が劣化するスピードが早くなってしまいます。そこで、保存袋に入れる際に、なるべく空気を抜いて保管するようにします。これなら、いい状態で長く保存できます。これもフードロスを減らす1つの方法ですよ」

食材リストは必要ない!?

 生鮮食料品以外の食品の収納の仕方はどのようにすればよいのでしょうか。

「スペースに余裕があれば食品庫を利用するとよいでしょう。私はシンクの上の棚に乾物や調味料を入れています。その時、手の届きやすいところに、頻繁に使う食材や消費期限の早い食材、上のほうに在庫を収納します。収納の仕方は冷蔵庫・冷凍庫と同じで、トレイやカゴを使っています」

 食材の把握・管理方法の一つとして、「食材リストの作成」もよく聞きますが、作った方がよいのでしょうか。

「ここまでにご紹介したことをきちんと実践すれば、何が何個あるのかが一目でわかるので、リストを作る必要はないでしょう。ただ、それをやっていても、いつの間にかゴチャゴチャしてしまうタイプの人は、品名・個数・賞味期限などを書いてリスト化した方がいいかもしれません。

 今は便利な食材管理アプリもあります。それに、わざわざアプリをインストールしなくても、スマホのメモアプリやホワイトボードなどに今ある食材を書き、使い切ったら消していく程度でも十分です。これなら、より手間をかけずにリスト管理ができます」

フードロスを減らせる便利グッズ紹介

 ここからは、矢野さんおすすめの便利なグッズをご紹介します。

【1】野菜保存袋

「野菜がいたむ原因となるエチレンガスを吸着透過することで腐敗を遅らせ、鮮度を長持ちできるのが野菜保存袋です。私も昔からよく使っているのですが、ほうれん草や小松菜など野菜をこの袋に入れてから野菜室に入れると、袋なしに比べて野菜のもちが飛躍的によくなります。コツは、この袋に野菜を入れたらなるべく空気を抜き、上部を折り返して密閉すること。22枚で1000円以下の商品もあり、洗って繰り返し使える点でもお財布に優しいグッズです」

 ちなみに、野菜保存袋を使わなくても野菜を長もちさせる裏ワザがあるのだとか。
「野菜の成長点は芯にあります。ですので、そこに爪楊枝などを刺したり、芯そのものをくり抜くと長もちします」

■参考商品:野菜・果物鮮度保持袋・愛菜果(二プロ)
www.amazon.co.jp/dp/B01LX7EU3F

【2】真空パック機

「食材の劣化の主な原因の1つは酸化です。真空パック機を使うと、空気を抜くことで酸化と菌の増殖を抑え、肉や野菜の鮮度を長く保てます。中には鮮度を最大5倍も保てる商品も。食材だけではなく、余った料理を冷凍せずに長期間保存できるので便利です」

■参考商品:「真空パック機 スターター7点セット」(ツヴィリング)
jp.zwilling-shop.com

【3】刃物メーカーのピーラー

「皆さん、人参や大根などの根野菜の皮を剥く際、よくピーラーを使っていると思いますが、安い物だと野菜に深く突き刺さないと切れないので、そのぶんフードロスが増えてしまいます。しかし、刃物メーカーのピーラーなら、野菜の表面に軽く当てるだけで滑るように薄く剥けます。お値段はそのぶん高いですが、100円ショップで売られているようなピーラーとは切れ味が全然違うので、一度試してみてはいかがでしょうか」

■参考商品:「SELECT100 T型ピーラー(貝印)」
www.kai-group.com/store/products/detail/994


※本記事で紹介した商品は、2021年9月現在の取材内容に基づいているため、予告なく仕様が変わったり、販売が終了したりする可能性があります。
※掲載商品は矢野きくのさんのおすすめグッズです。
※ご使用の際は各商品の使用方法をよくお読みのうえ、正しくお使いください。

SDGsを動画で学ぶ:
「内田篤人のSDGsスクール!」


LIXIL SDGsアンバサダーの内田篤人さんと一緒に、SDGsというテーマを分かりやすく学び、 楽しい実験や体験を通じて、皆さんと一緒に知識を身につけていただくYouTube番組です。

≪お話をうかがった方≫

矢野きくのさん

家事アドバイザー。家事の効率化、家庭でできるSDGsを専門にテレビ・ラジオ・講演・コラム連載などで活動。時短家事、便利グッズ、業務用品の情報にも精通し、大手メーカーの生活用品の企画にも携わる。著書『シンプルライフの節約リスト』『私らしくシンプル家事 時間とお金を呼び込む節約大ワザ、小ワザ』、監修書『50代からの 自宅の片づけ 実家の片づけ』など。

文◎山下久猛
写真提供◎photoAC/Shutterstock/PIXTA

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