
大掃除といえば年末にするのが一般的です。しかし、掃除する場所や内容によっては、暑い夏のほうが効率的に掃除できるのをご存知でしたか? 住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに、夏に掃除しておきたい場所No.1である「キッチン」の掃除術を教わりました。
藤原さんによると、気温が高い夏は冬に比べて汚れを落としやすく、大掃除に最適な季節だといいます。
「油や皮脂、泥などの汚れは、温度が上がると汚れの分子が緩み、落としやすくなります。また、油汚れにはお湯を使ったほうが汚れをすすぎやすいのですが、夏場だと水道をひねるだけで生ぬるい水が出てきますし、給湯器を使うにしても冬よりコストがかからないところも、夏に大掃除するメリットです。
そのほか、洗濯物の乾きが早いところも夏のよさです。大掃除中はカーテンやラグなど大物の布を洗濯したくなるもの。こういった大きめの洗濯物も、夏ならすぐに乾かすことができる上、直射日光による殺菌効果も得ることができます」
手洗い可能なユニット状のラグカーペット。汚れがしみこみにくいPTT繊維で、水洗いでも汚れが落としやすくなっています。
レンジフードやコンロまわりなど、家のなかでもとくに掃除が厄介なイメージのあるキッチンの油汚れは、洗剤の効果を発揮しやすい夏に落とすのがおすすめです。藤原さんに、キッチンの掃除術を伝授していただきました。
キッチンを掃除するときは、レンジフードから始めましょう。ファンやフィルターなど、外せるパーツはすべて外し、洗剤につけ置きしておけば、その間に他の場所を掃除することができます。
フィルターやファンをつけ置きする際は、ポリ袋やバケツに30〜40℃のお湯をはり、粉末タイプの酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)を規定量入れて溶かしたものに浸します。30分〜1時間程度たつと、へばりついた油汚れやホコリがベロベロと剥がれていきます。残った汚れはブラシなどを使って擦った後、すすいで落とします。
なお、レンジフードにはさまざまな構造があり、分解の方法もそれぞれ異なります。無理に分解すると壊してしまう恐れがあるため、内部のパーツを外すのが難しい場合は、プロにおまかせするのがおすすめです。
毎日のお手入れ時間の短縮や快適な暮らしのために、お掃除専門スタッフがお手伝いします。ふだん手がとどかない場所のお手入れなど専用の洗剤、技術を用いたお掃除サービスです。
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キッチンクリーニング、レンジフードクリーニング、魚焼きグリルクリーニングがセットになった「リクシルオーナーズクラブ限定パック」です。
レンジフード本体は、油汚れ用洗剤をスプレーして拭き掃除していきます。油汚れが激しい部分に関しては、洗剤をスプレーしたキッチンペーパーを10分貼っておくと、油汚れが緩み、簡単に汚れを落とすことができます。
コンロまわりは、食器用の中性洗剤と柔らかいスポンジを使って拭き掃除をします。焦げつきが取れにくい場合は、焦げ落し専用の洗剤で汚れを緩めてからスポンジで擦ると、汚れが落としやすくなります。最後は仕上げとして、使い捨てのボロ布やキッチンペーパーなどを使って浮き出た汚れを拭き取り、洗剤の成分が残らないようにしましょう。
キッチンの床や壁、食器棚、冷蔵庫や電子レンジの外周などは、調理中にはね飛んだ油や油煙で汚れています。これらの汚れを放っておくとゴキブリの温床にもなりやすいので、油汚れ用洗剤を使って拭き掃除しておきましょう。
なお、拭き掃除に使う布は油でベタベタになるので、使い捨てできるボロ布を使うのが望ましいです。使い古したバスタオルや下着、穴の空いた靴下などは雑巾代わりになるので、捨てずに掃除で使うことをおすすめします。
次亜塩素酸ナトリウムを主成分としたキッチン用漂白剤を排水口にスプレーして30分おいておけば、簡単にぬめりをとることができます。落としきれなかったぬめりは、歯ブラシなどを使って擦った後、すすいで落とします。
→ 第2回に続く
大手住宅メーカー営業職を経て主に住まい、暮らしまわりの記事を専門に執筆し21年目。現在はライティングの傍ら監修、企画、広告、アドバイザリー等の業務に携わる。プライベートでは三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など著監修書、マスコミ出演多数。
文◎八木麻里恵
人物写真◎加々美義人
画像提供◎Shutterstock