サンドウィッチの達人になる![第4回]

はさまないのにサンドウィッチ?

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ライ麦パンで北欧名物
「スモーブロー」をイメージ!

 北欧の家具やインテリアが人気を呼ぶなど、日本では「北欧ブーム」が続いています。食文化でも、夏にはザリガニを食べたり、フランスやイタリア、スペインとは違うところが人気の理由だともいわれています。

 そんな北欧でランチタイムに日常的に食べられているのが、スモーブローと呼ばれるオープンサンド。簡単で栄養満点の料理です。

 スモーブローには、1つだけ外せない決まりがあります。それはライ麦パンを使うこと。北欧で日常的に食べられているライ麦パンは、「サワー種」と呼ばれる酵母を使い、茶色くて酸味を感じるパンです。

 北欧のそうしたライ麦パンは日本ではなかなか手に入りにくいのですが、フランスやドイツでもライ麦パンは作られています。やはり酸味を感じ、複雑で豊かな味わいです。カロリーは食パンに比べて低め。それでいてミネラルなどは豊富で栄養価の高い、優れたパンです。

 今回はライ麦が30%入った、酸味を感じながらもマイルドで、慣れない方でも食べやすいパンを使います。

オイルサーディンのオープンサンド

 スモーブローによく使われるのはシーフード。海老やザリガニはもちろんのこと、スモークサーモンやニシンの酢漬けなどの保存食もポピュラーです。パンをさっと切って、缶や瓶から取り出してのせるだけという手軽さも、人気の理由です。

 今回は、手に入りやすく、お値段も手頃なオイルサーディンを使いましょう。生臭さがなく、香草パン粉焼きや缶のままアヒージョのように温める「オイルサーディンのそのまんま焼き」にしても美味しくいただけます。

 そのままパンにのせても良いのですが、実は、はさまないサンドウィッチだからこそできることがあります。それは、具材を熱々にすること。そしてたっぷりのせることです。

 パンをスライスする間に、フライパンでオイルサーディンを温めます。写真では大きく見えるかもしれませんが、実際は直径15cmの小さいプライパンを使っています。中弱火くらいで温めましょう。火が強いと身が崩れてしまいます。表裏、ゆっくり温めます。

 スライスしたパンに、室温に戻したクリームチーズをたっぷり塗ります。ベビーリーフなどの青い野菜を敷き、さらにスプラウト(ブロッコリーなどの発芽した新芽)をのせます。

 そこに熱々のサーディンをのせ、レモンを1片のせたらできあがりです。そのままでも美味しいですが、塩分が足りないと感じる人は、ぱらりと塩を掛けましょう。

焼きコンビーフとジャガイモのオープンサンド

 続いては、ドイツ風のオープンサンドです。

 ドイツには、加工したべーコンやソーセージと炒めたジャガイモ、それにオムレツや目玉焼きをのせた「農夫の朝食」という食べ物があります。ドイツビールのお店などに行くと見かけます。これをイメージして、ドイツでもポピュラーなライ麦パンで作ってみましょう。

 まずは、スライスしたパンをトーストしましょう。軽くパンが温まる程度で大丈夫です。

 お肉は、ベーコンやソーセージも悪くありませんが、もっと手軽にコンビーフを使いましょう。ジャガイモを3mm厚にスライスし、フライパンでさっと焼きます。

 焼けたパンにバターを軽く塗り、ベビーリーフを敷いて、その上に焼きたてのジャガイモとコンビーフをのせます。トッピングにパプリカなどを飾ればできあがり。上から黒胡椒を挽いても良いでしょう。火が入ってほろっと柔らかくなったコンビーフが、ライ麦パンと良く合います。目玉焼きを添えるのも良いでしょう。

キャロットラペでヴィーガンサンド!

 最後は、ヴィーガン(菜食主義者)にも喜んでもらえるオープンサンドです。

 ヴィーガンは、肉はもちろん、玉子や乳製品も食べないという方がほとんどです。ですから、チーズなども使えません。けれど、工夫次第でヴィーガンの方も納得のサンドウィッチを作れます。それが、手軽に作れる野菜料理としてフランスで人気のキャロットラペ。細長く切ったにんじんを使うのです。

 にんじんは千切りにしても良いのですが、ふわっとした食感を出すため、チーズグレーダーの粗めの面でおろすのが一番です。

 今回は、冬の間雪の下で寝かせて甘みをぐんと増した「雪下にんじん」を使いました。

 にんじんに千切りにスライスしたリンゴ、クミンシード、クルミやアーモンドなどのナッツ類、粒マスタード、塩、白ワインヴィネガー、エクストラバージンオリーブオイルを入れます。

 ここで本来、蜂蜜を加えるのですが、ヴィーガンの多くは蜂蜜をヴィーガンフードと認めていないため、メープルシロップを加えます。これをざっくり混ぜます。

 パンの上にベビーリーフを敷き、たっぷりのキャロットラペをのせます。こんもりと高く盛ると良いでしょう。これは、オープンサンドならではのボリュームの出し方。パンではさむサンドウィッチではふんわり作ったキャロットラペの良さが少し損なわれてしまいます。

 上にレモンやセルフィーユなどを飾って完成です。

 ここまで4回にわたって、さまざまなサンドウィッチをご紹介してきました。どんなサンドウィッチも、あなたの感性でもっといろいろなものが作れます。サンドウィッチはとても自由度が高く、栄養価も高い優れた料理です。あなただけのレシピを、ぜひ考えてみてください!


文・レシピ開発◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
撮影◎大西尚明
スタイリング◎藤井玲子

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