多くの人が勘違い!
「整理」と「収納」は別モノ
美的ハウスキーピング代表の中村美香さんは、「そもそも、整理と収納は分けて考えなくてはいけません。同列に考えていると、いつまでたってもキッチンは雑然としたままです」と指摘し、こう解説します。
「要るモノを残し、要らないモノを処分することを整理だと思っていませんか? 要らないモノを手放すのは、整理の前段階です。今現在、要らないとわかっているモノを手放すのは、ゴミ捨てと同じ。ゴミの無い状態から整理はスタートします。本当の『整理』とは、要ると思っているモノをさらに見きわめていくこと。特にキッチンでは、『毎日使っているから必要』という固定観念を払拭して、特定の用途に限定されることのない、何にでも使いやすい道具選びをしていきます。
そして残したものを、取り出しやすく、片づけやすい場所にしまっていきます。これが『収納』です。そして、整理の過程でいるものといらないものを見きわめ、収納の過程ではそれぞれのモノにとって最適の場所を決められるかどうかに、正否がかかっています」
実際、多くの方が、整理と収納を区別していないようです。
2020年にリクシル・オーナーズクラブ会員を対象に行ったキッチンに関するアンケートでも、「ごちゃごちゃしていて、使いたいモノがすぐに取り出せない」「サイズがバラバラな道具が多く、収納しづらい」などといった悩みが寄せられました。
中村さんは、「整理と収納を同時に考えていると、こうしたお悩みが生まれてしまいます」と指摘します。
加えて中村さんは、「整理と収納は、モノ別に取り組んでいくといいですよ」ともアドバイス。
モノ別というのは、「調理器具」「雑貨」「食器」といった「仲間ごと」に取り組むという意味です。
では、具体的にはどのようにしたらいいのでしょうか。その手順を、今回から3回にわたって、中村さんの実演動画とともに紹介していきます。
はじめにやるべき「3つのこと」
キッチンを整理するには、自分がいまどれだけのモノを所有しているのか把握しなくてはなりません。
そこで、整理に着手する前に、まずは所有しているモノを可視化します。要は、収納されているモノをすべて引っ張り出してくるのです。
とはいえ、いきなりキッチンにあるものを全部出そうと考えてはいけません。
中村さんは、「先に行うべき大切なポイントが3つある」と言います。
どういうことなのか、動画で確認してみましょう。
キッチンでは、ゴールデンゾーンに相当する空間の多くが調理スペースにあてられていて、モノを収納できる空間は多くありません。
その数少ないゴールデンゾーンをいかに有効活用するかが、収納のコツというわけです。
当然、使用頻度の高いモノから順に、ゴールデンゾーンに収納していくことになります。
実はこの方法は、多くの方が無意識のうちに実践しています。毎回の食事で使う茶碗やお箸を、わざわざ冷蔵庫上の棚などに収納する方はあまりいませんよね。
しかし、この「何となくゴールデンゾーンを使っている」というのが落とし穴。あれもこれも、使い終えたモノを「しまいやすい」というだけの理由でゴールデンゾーンに突っ込んでいくと、すぐにモノであふれ、必要なモノをサッと取り出せなくなってしまうのです。
では、限られたゴールデンゾーンはどのように活用すればいいのでしょうか。
次回から、モノ別の整理・収納方法とともに、詳しく見ていきます。
→ 第2回に続く
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