簡単なのに本格的! スパイスから作るカレー[第2回]

味わい深い7種のスパイス香るキーマカレー

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新たに加えるスパイスは3種類

 今回は、第1回でご紹介した基本のスパイス4種類(ターメリック、コリアンダー、クミン、唐辛子)にカルダモン、シナモン、クローブを加え、さらに香りや味わいの深いカレーを目指します。

【追加するスパイス】

◎カルダモン
 爽やかさと甘さが同居する高貴な香りから、スパイスの女王といわれています。カレーはもちろん、パンやスイーツなどにも使われ、消化促進や抗炎症作用、口臭予防などにも役立ちます。カレーに使われるカルダモンは「グリーン」と「ブラック」の二種類。それぞれに特徴がありますが、パウダーで手に入りやすいのはグリーンの方です。
◎シナモン
 リンゴを使ったお菓子や紅茶にも使われるシナモンは、キーマカレーにとてもよく合います。カルダモンがスパイスの女王ならこちらは王様。ギリシャ神話にも出てくる、古代から好まれるスパイスです。日本ではニッキと呼ばれ、甘やかな独特の香りです。樹皮を乾燥させて丸めたスティック状で売られているものもありますが、パウダーも手に入りやすいので、今回はパウダーを使います。
◎クローブ
 日本や中国では「丁字」と表記するように、釘に似たT(丁)の形をしています。漢方の世界では「温中降逆」という効果があるとされています。これは胃腸を温め、身体の内部の冷えからくる不調を整えるものです。また、食品としての効能とは関係ありませんが、虫除けの効果もあります。クローブを数粒、布製の袋に入れてキッチンに下げておけば、ゴキブリなどを防げます。

本場のキーマカレーは鶏肉か羊肉

 キーマとは、ヒンディー語で「挽肉」の意味です。
 ここで肝心なのは、その挽肉の種類。日本では、挽肉といえば大抵は牛か豚で、その二つをあわせた「合い挽き」が一般的です。けれど、インドでは牛と豚は宗教的タブーということもあり、キーマカレーに使われる挽肉のほとんどは鶏か羊です。日本では羊の挽肉は手に入りにくいので、カレー文化の源流をリスペクトして、鶏の挽肉を使いましょう。

 鶏挽肉は、スーパーなどで売っているものを使ってもかまいませんが、ほとんどは胸肉で、二度挽きされています。肉屋さんや鶏肉専門店でもも肉を一度挽き、または粗挽きで挽いてもらったものを使うと、美味しさがアップします。

 またキーマカレーには、さまざまな野菜も加えられることがあります。ナス、ジャガイモなどは1cm角くらいの賽の目に切って使います。挽肉と食感や大きさを合わせることがポイントです。他にも、タマネギやズッキーニ、大根など、お好みの野菜を入れるのもいいでしょう。豆を入れるのもひとつの手。キーマカレーにグリーンピースを入れるレシピはインドでも人気です。

タマネギのみじん切り、できますか?

[1]皮を剥き、根と頭のところを切り落として半分にしたタマネギに、頭側から幅5mmの切り込みを入れる。細かいみじん切りにするときは、この幅を狭くします。

[2]包丁で、まな板と水平に2~3本切り込みを入れる。

 キーマカレーのタマネギは、みじん切りか角切りにします。チョッパーやフードプロセッサーを使ってもかまいませんが、もし手で切る場合は、次のような手順でやるといいでしょう。

[3]5mm幅でタマネギを刻んでいく。細かいみじん切りの場合は、幅をさらに狭くします。粗いようなら、まな板の上でもう少しチョップしましょう。

スパイス香るキーマカレー

【材料】(4人分)

  • 鶏挽肉
    500g
  • タマネギ
    中1個
  • 生トマト
    大1個
  • お好みの野菜
    (※1)
  • お好みの豆
    (※2)
  • ニンニク
    3~4片
  • ショウガ
    1片(15〜20g)
  • 食用油
    大さじ3~4

  • 大さじ1/2~1/3
  • ※1 茄子、ズッキーニなどがよく合います。5mm〜1cmくらいのみじん切りにしてカップ1くらい。
    ※2 ひよこ豆(水煮でOK)やレンズ豆(水煮がなければ下茹でします)、生のグリーンピースなどをカップ1くらい。

      ■スパイス

    • ターメリックパウダー
      大さじ1/2
    • クミンパウダー
      大さじ1
    • コリアンダーパウダー
      大さじ1
    • レッドチリパウダー
      大さじ1
    • シナモンパウダー
      大さじ1/2
    • クローブパウダー
      大さじ1
    • ※スパイスはあくまで目安です。好みで増減の調整をしましょう。一度作ってみると、もっとこのスパイスが欲しい、このスパイスが多すぎる、ということがわかってきます。

【作り方】

[1]鍋に食用油と5mm角のみじん切りにしたタマネギ、さらに細かくみじん切りにしたニンニクとショウガを入れ、中火~強火で炒めます。タマネギに軽く色が付いたら、中火にしてスパイスを入れ、焦がさないようにかき混ぜながら炒めます。

[2]スパイスの香りが立ってきたら、挽肉を入れ、ヘラなどでほぐしながら火を通します。

[3]お好みの野菜や豆を入れる場合はここで加え、さらに1cm角に切ったトマトを加えます。塩を入れ、味を整えてできあがりです。

できあがり

【ポイント】

 今回は、鶏挽肉の美味しさをしっかり味わうために、タマネギ以外の野菜や豆は一切入れませんでした。野菜や豆を入れるときに気をつけることは、食材の大きさと塩分です。

 豆類は大きさを変えられませんが、野菜はあまり大きく切ると「キーマカレー」とは違うものになってしまいます。キーマカレーはあくまで挽肉が主役です。ズッキーニや茄子などを入れるなら、5mm〜1cm角くらいの小さめに切って加えましょう。

 また、野菜を入れると水分が出ますから、その分、塩加減を調整しましょう。最後に塩を加えるのはそのためです。分量の2/3くらいを加えて少し味見をして、足りないようなら足しましょう。

 今回、トマト缶ではなく完熟の生トマトを使ったのは、フレッシュな爽やかさを引き出すためです。トマトは旨みが豊富で酸味もありますので、あまり使いすぎない方が挽肉の味わいが強調できます。トマト缶を使うなら1/3缶くらい、トマトペーストなら大さじ1くらいに置き換えてもいいと思います。

 盛り付け例は、某有名カフェの名物カレーをリスペクトしてみました。セルクル型と呼ばれる円筒状の型にごはんを詰め、上からカレーを詰めて抜きました。水分が多いと崩れてしまうので、煮込むときにしっかり水分を飛ばしましょう。

 キーマカレーはスパイスの使い方さえ知っていれば、下ごしらえからでも30分ほどでできます。

 次回は、ホールスパイスを使ったカレー作りに挑戦です!

文・写真◎坂井淳一
「今日は何を呑もう」から考える「酒ごはん研究所」主任研究員。ライター・フードジャーナリストとして多数のメディアに執筆。飲食店のレシピ開発やコンサルティングも行う。男性も料理をしよう、という「イエメシオトコ。」活動を展開中。料理のほか、住宅、旅行、アウトドアやIT、ガジェットなど幅広いジャンルをカバーする。

 

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