簡単なのに本格的! スパイスから作るカレー[第1回]

4種のパウダースパイスで作る基本のチキンカレー

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カレーに「決まり」はありません

 最近人気のスパイスカレーやインド料理店のカレーは、おうちで作るにはハードルが高そう。何十種類ものスパイスを揃えるのも大変です。「何時間も煮込む」「翌日のほうが美味しい」という人も多く、手間と時間がかかるものと思われがちです。

 カレーマニアの中には「ルーなんて使わない」「米は香り高いバスマティライスを」「いや、ナンじゃなきゃダメだ」など、いろいろな意見もありますが、皆共通しているのは「スパイスが香る美味しいカレーが食べたい」ということ。

 カレーに大仰なルールなどありません。スパイスの選び方から、美味しいカレー作りには欠かせない「飴色タマネギ」の簡単な作り方まで、基本とポイントをおさえれば、本格的なカレーは誰でもあっという間に作れます。

 さあ、皆さんも「カレーの達人」を目指して、さっそく作ってみましょう!

基本のスパイスは4種類

 インドには「カレー粉」というものがありません。日本で売られているカレー粉は、ターメリックという黄色のスパイスをベースに、いろいろなスパイスやハーブをミックスしたものです。インドではこのターメリックに加え、クミン、コリアンダー、そして唐辛子の4種類をミックスして基本的なカレーを作ります。これらのスパイスは日本のスーパーや100円ショップでも手に入れることができるので、ルーもカレー粉も使わない本格的なカレーはおうちでも作ることができるのです。

【使うスパイス】

◎ターメリック
 ショウガ科の植物の地下茎。漢方薬などに使われるウコン(姜黄=キョウオウ)と基本的には同じものです。消化や肝機能の促進、抗アレルギー作用や殺菌作用などがあるとされるクルクミンという成分が豊富です。
◎クミン
 最古のスパイスの一種とされ、カレーや羊料理には欠かせないスパイスです。インドカレーの香りの中心はこれ。整腸効果や風邪の予防、利尿効果があるとされています。
◎コリアンダー
 別名シャンツァイ(香菜)、パクチー。乾燥させた種子はかんきつ類のような香りがし、インドやヨーロッパでは香辛料として用いられます。整腸や消化促進、デトックス効果があるとされています。
◎唐辛子
 カレーの辛さを決めるのはこのスパイス。乾燥させた赤唐辛子のレッドチリパウダーがよく使われます。強い辛みが好みならカイエンペッパーを、辛いのが苦手な方は使用量を控えたり、パプリカパウダーを使いましょう。

飴色タマネギを時短で作る

 甘みとコクが凝縮され、カレーをグンと美味しくさせる「飴色タマネギ」。じっくり炒めて作るので、最低でも30分、量が多いと1時間はかかります。しかし、スライスして冷凍させたタマネギを使えば、飴色タマネギは7〜10分ほどでできるのです。飴色タマネギはさまざまな料理に使える万能アイテムなので、多めに作って小分けで保存しておくのがおすすめです。冷蔵で10日ほど、冷凍でひと月ほど保存できます。

【飴色タマネギの作り方】

[1]中玉のタマネギを2個用意。皮を剥き、頭とへたを切り取って半分に割り、包丁やスライサーなどでスライスします。

[2]スライスしたタマネギをフリーザーバッグに入れ、冷凍します。凍るまで2〜3時間はかかるので、前の晩に冷凍させておくと良いでしょう。

[3]凍ったタマネギを手で軽くほぐしながらフライパンに入れます。そこに食用油を大さじ1〜2加え、強火で炒めます。最初の1〜2分は蓋をしても良いでしょう。しばらくして、鍋の中で多少焦げてきたら、ヘラなどでかき混ぜます。焦げ始めたら混ぜ、しばらくおいて焦げそうになったらまた混ぜ、という工程を繰り返します。この焦げは「メイラード反応」と呼ばれるもので、香ばしさや美味しさの元になるものです。

[4]ある程度タマネギに色が付いたら、水を50cc〜100ccほど加えます。水分を蒸発させるように炒め続け、2〜3回これを繰り返し、タマネギの色が増したら飴色タマネギのできあがりです。

基本のチキンカレー

 インドのスパイスカレーは、宗教的な理由もあり主に使われるお肉は鶏肉か羊肉です。そこで、鶏肉を使って基本的なカレーを作ってみましょう。具は鶏肉のみ。野菜は入れません。

【材料】(4人分)

  • 鶏もも肉
    2枚(400〜600g)
  • 飴色タマネギ
    中玉2個分
  • トマト缶
    1缶
  • ニンニク
    3〜4片
  • ショウガ
    1片(10〜15g)
  • パクチー
    お好みで

  • 小さじ2
  • 食用油
    大さじ2
    • ■スパイス

    • ターメリックパウダー
      大さじ2
    • クミンパウダー
      大さじ2
    • コリアンダーパウダー
      大さじ2
    • レッドチリパウダー(※)
      大さじ1
    • ※今回は辛みの強いカイエンペッパーを使いました。

【作り方】

[1]鍋に食用油と飴色タマネギ、みじん切りにしたニンニクとすりおろしたショウガ、粗くみじん切りにしたパクチーの根を入れ、軽く炒めます。中火でふつふつしてきたら、スパイスを入れ、焦げないようにかき混ぜながら炒めます。

[2]スパイスの香りが立ってきたら、トマト缶と一口大に切った鶏肉を入れます。15分ほど蓋をせずに煮込みましょう。3〜4cmに刻んだパクチーを加え、さらに3~5分煮込んだらできあがりです。

できあがり

【ポイント】

 このカレーは、20〜30分で作れます。作りたてが一番美味しく、寝かせたり冷凍したりするとスパイスの香りが弱くなってしまいます。余ったときは冷蔵や冷凍で保存してもかまいませんが、「翌日のカレーのほうが美味しい」ということはありません。

 このレシピでは水を使わず、トマト缶の水分だけで作ります。トマトの酸味と旨みがカレーの美味しさをアップさせますが、酸味が気になるようでしたら、煮込み時間を30分くらいにすると酸味はかなり飛びます。また、生の完熟トマトを使い、少し水を加えてもいいでしょう。ただし、水分が多すぎるとぼやけた味になってしまいます。

 一度この基本のカレーを作って、そこから自分流にアレンジしていくのも楽しいものですよ。
 
 次回は、使うスパイスの種類を増やして挽肉のカレーを作ります!

文・写真◎坂井淳一
「今日は何を呑もう」から考える「酒ごはん研究所」主任研究員。ライター・フードジャーナリストとして多数のメディアに執筆。飲食店のレシピ開発やコンサルティングも行う。男性も料理をしよう、という「イエメシオトコ。」活動を展開中。料理のほか、住宅、旅行、アウトドアやIT、ガジェットなど幅広いジャンルをカバーする。

 

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