リフォーム実例を長期取材! 埼玉県Wさん邸 Before 後編

リフォーム前に訪問!「ココをこう変えたい」

空間
キッチン
関心
老後介護リフォーム事例

古くて使いにくいキッチンを変えたい

 Wさんのリフォームはまず「キッチンの交換」がメイン。
 こちらのマンションは38年前に購入。当時としては斬新だったシステムキッチンも年月を重ね、ステンレスの表面は傷つき、古びた印象に。モノが増え、壁一面にある食器棚は少し圧迫感もあります。天井から吊るされた収納は、小柄なWさんにとっては高過ぎて、今はほとんど使っていないそうです。

パンフレットを見ながら夢を広げる時間もリフォームの楽しさ。

「ショールームにいくと、収納はパッと取り出しやすいし、水栓はタッチレス。シャワーでシンク内の汚れを洗い流すことができたり、その便利さに感動しました」

 選んだキッチンは一枚板のセラミックトップ。継ぎ目がないため掃除がしやすく、熱にも傷にも強い材質は手入れしやすいメリットがあります。「本当はキッチンの横幅一面に入れたかったのですが、玄関から入れることができないそうで断念。その代わり、冷蔵庫スペースを確保することにしました」

新築当初から変わっていないキッチンとダイニング。きれいに使われていますが、観音扉ばかりのキッチン収納など、時代を感じさせます。

収納の位置が高すぎ、踏み台がないと届かない。使う頻度は低くて軽い物しかしまえない。

廊下をなくして広いダイニングに。内装も一新

 さらに、廊下とダイニングとの間の壁をこわし、広い空間にする予定です。
「夫の単身赴任先で購入したダイニングテーブルがとても大きく、ダイニングを広くする必要があるんです。昔は廊下があるほうが、それぞれの部屋に個室感があってよかったのですが、今は二人暮らし。廊下がないほうが広く使えると思いました」

 現在の廊下の幅では、車イスが通る幅もなく、廊下をなくすのはバリアフリー化の意味もあります。

 壁紙とフローリングなど、内装も一新します。特に廊下やダイニングの床は、クッションフロアからフローリングに変えるので、雰囲気は大きく変わりそうです。

「こうした幾何学模様の床が、当時はやっていたんでしょうね。今見ればレトロで、時代を感じさせます。リフォームでは落ち着いた雰囲気にしたくて、壁は白、床はダークな色合いにする予定です」

 具体的にどんな商品・品番を選ぶかの打ち合わせはこれから。
「とにかく種類が多くて、選ぶのが大変そう」というWさんですが、「新築時にすべてなにも選べなかった」と心残りがある分、どこか楽しそうでもあります。

[左] 現在は、廊下がある分、ダイニングが狭くならざるをえない間取り。[右] クッションフロアの廊下とダイニング、じゅうたんの居間。すべてつなげて、フローリングにする予定。

玄関・洗面室の収納量をアップ。エコカラットも導入

エコカラット(https://ecocarat.jp/)のサンプルに木の枠をつけてコースターにしたもの。裏を返せば商品名と品番のシールが貼られている。

モノが増え、コンクリートブロックを使って収納スペースを追加した玄関。

現在の洗面所に比べると、収納スペースが少なく、細々としたモノがあふれがちに。ちなみにバスルームはすでに交換済み。

 さらに大きく変えるのが洗面室と玄関。どちらとも現在はモノがあふれているため、収納を増やし、すっきりさせる予定です。
このほか、最初からWさんが決めていたのが、湿気の多い玄関の壁に「エコカラット」を設置すること。そもそも、30年前以上にノベルティでもらった、エコカラットのコースターがきっかけだったというのが驚きです。

「このエコカラットのコースターが、コップの水滴をどんどん吸収してくれるんですよ。これで、効果がすごいなと実感していたんです。凹凸のある壁がアクセントにもなるし、是非いれたかったんです」

1.玄関の壁をエコカラットに
2.玄関にシューボックスを設置
3.洗面台をL.C.に
4.トイレをサティスSに
5.トイレの壁をエコカラットに
6.トイレに手洗いを設置
7.トイレのドアを塗り替え
8.和室を洋室に
9.キッチン・収納棚をリシェルSIに
10.キッチンとの扉をなくし、広々としたLDKに
11.和室とリビングとの扉は片開きのドアに変更

会社もWさんも、すぐにも着工できない事情アリ

 ただ、ショールームを訪れたのは2か月以上も前。まだ工事に着工できていません。
 というのも、取材時の9月時点では、消費税増税直前の駆け込み需要のため、リフォーム会社さんが超多忙時期にあったからです。

 ただし、Wさん側にも、着工にはすぐ入れない事情がありました。Wさんが暮らすマンションでは、細かな仕様書やスケジュール表を添えて、管理組合に、リフォームの申請をしなければいけないからです。

 これはマンションという集合住宅なら一般的なこと。
「うちの場合は申請から承諾まで1カ月ほどかかるそうで、どっちにせよすぐ工事は開始できなかったんです」

居間の横は、タンスを置いた収納部屋に。「一部家具も捨ててすっきりさせるつもりです」

 承認までの期間、必要な資料の種類などは管理組合によっても異なります。なかには、「遮音機能〇以上のフローリング」と決められているケースもあるので、事前に管理会社を通して規約を確認することが必要です。
 ちなみにバルコニー、サッシ、玄関はマンションの共用部にあたるため、基本的には個別にはリフォームができない箇所です。

 3LDKのうち2つの個室については、今回は手を加えずにリフォームを実施することとしたWさん。リフォーム中も仮住まいをせず、暮らしながら工事をします。リフォームする箇所の家具は、少しずつずらし、移動させながらの予定。その運搬費も工事の見積りに含めているそう。

「引っ越しはしませんが、もちろん、モノはどんどん捨てて整理するつもりでいます。リフォームが終活に向けての断捨離のいい機会になると思っています」

* * *

 次回は、実際に工事に着工した、工事中の様子についてレポートする予定です。


文◎長谷井涼子 撮影◎本浪隆弘

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