こまめなメンテで大きなトラブルは防げる
手早く作れる、美味しい料理のレシピをたくさん考える時吉真由美さん。テレビ番組のフードコーディネートも多数手がけています。今住んでいるお宅はアイランドキッチンにリフォームして9年経つそうです。
こまめに掃除をしていると経年のへたりや不具合が早期発見できる。
「5年経つと、キッチンはあちこち気になってくるものです。けれど、普段キッチンで料理をしているときに、こまめなメンテナンスを心がけておけば、大きなトラブルは回避できます。なにより大切なのは。料理をしながら洗い物や片付けをすること。私は一皿の料理を作るとすぐに鍋を洗うようにしています。すべての料理ができあがって食卓に並べるときには、おおかたの洗い物はほぼ終わっています。食事が終わったら食器だけを洗えばいいという状態にしておきます」
食事のあとの片付けや洗いものは、どうしても億劫で、おざなりになってしまいがち。けれど、これなら片付けも面倒くさくなさそうです。どうしても汚れが落ちにくい鍋などは、シンクにおいて水に浸けておくとのこと。そうすれば、食器洗いは食洗機にお任せ、食後は軽くキッチン回りを掃除するだけでいいというわけですね。
「最後にシンクを洗うのですが排水口に蓋をして水を溜め、そこに漂白剤を入れます。魚などをさばいたときはシンクに生臭さがつきますから、多めに水を張るといいでしょう。まな板などもそのときに漂白をしてしまいます」
5年目の蓄積汚れは漂白剤で落とす
換気扇は汚れるものという心構えがあるけれど、食洗器内の汚れは見落としがち。
普段、キレイにしておくとキッチンは一見快適に見えます。けれど、よく見てみると、意外と「蓄積汚れ」があるものです。時吉さんは、いろいろなアイテムを使い分けてメンテナンスをするそうです。
「シンクや、メッキされた水栓などの水アカが気になるときは、重曹を粉のまま使って磨きます。重曹は環境にも優しいし、使い勝手がいいですね。磨くときはラップを丸めてスポンジ代わりにして。水を吸わないので研磨効果がアップします。さらに、ゴム手袋をすれば、両手でラップスポンジを使えるので時短になりますよ」
5年も経つと、シンクまわりには水垢やカルシウムがこびりついているものです。この際、一度、一気に磨いてしまいましょう。水垢が落ちにくいときは、クレンザーなどを使うのもいいでしょう。
また、排水口や配管にも、ぬめりや汚れが付いているものです。
「排水口は水切りや蓋などのパーツを外し、泡タイプの漂白剤をスプレーして浸け置きします。使わなくなった歯ブラシで細かいところまでぬめりや汚れを落とします。落ちにくいところは、いらなくなったプラスティックの会員カードなどをカットして汚れを掻き出すように落としましょう」
収納部分の引き出しの縁は思いのほか汚れていたりする。
シンクやコンロ以外にも、思いのほか汚れるところがあります。例えば、水栓金具(蛇口)や収納部分の引き出しの縁。コンロの下やシンクの下の扉などもそうです。
「こうしたところは意外に目が届かないもの。定期的に水拭きや洗剤を使って汚れを落とすようにしましょう。私は毎日拭きますし、換気扇まわりも油がつきやすいので毎日拭いています」
拭き掃除にはペーパータオルもいいのですが、時吉さんは白いふきんを使うそうです。新品のふきんは食品や食器拭きに使い、洗濯を繰り返して少し汚れてきたら、キッチンのトップやシンクなどを拭くために使います。濯をしても汚れが落ちなくなってきたら、最後に拭き掃除に使います。
「白いふきんは汚れが目立ちますが、どんどん拭いて汚していきましょう。そのぶん、キッチンはキレイになるんです」
お気に入りの洗剤と微生物で排水口をきれいに
きれいなキッチンでおいしい料理をつくりたいもの。それには洗剤選びも大切。
シンク以外では、汚れが一番気になるのは火まわりです。油や蒸気が上がるので、どうしてもべたついた汚れの元になります。
「換気扇のフィルターやオイルたまりなどは、できれば年に1~2回は洗っておきましょう。最近私は『オキシクリーン』という酸素系漂白剤を使うことが多いです。大きなゴミ袋にこれを溶かした溶液を入れ、フィルターや五徳、レンジグリルのトレーや網などを1~3時間漬け込んでしまいます。そうすると主な汚れは浮いてきますから、あとはゴム手袋をして、クレンザーなどを使って頑固な汚れを落とします。どうしても落ちないものは耐水ペーパーで磨くといいですよ」
そして、排水口の奥も徹底的にきれいにしてしまいましょう。5年くらいで排水口からつながるパイプが劣化することはありませんが、どうしても細かいゴミや油などが落ちるのでパイプの中に汚れがこびりついてしまいます。
「排水口のクリーンアップには、いくつかの洗剤を使い分けています。『お願いだから5日間待って』というタブレット状の洗剤があります。これは、錠剤で排水口の近くに縛っておいておくと、納豆菌の仲間が5日間かけて徐々に溶け出し約1カ月間、納豆菌が排水口、排水管の奥の方まで広がって汚れを分解し続けてくれます」
時吉さんは、シンクで食器や鍋を洗うときには、「緑の魔女」というドイツ生まれの洗剤を使っているそうです。
きれいに磨き上げたキッチンはとても気分がいいもの。料理もますます楽しくなりますね。けれど、磨き終わったら、もう一度キッチン全体を眺めてみましょう。すると、ちょっとくたびれた部分が見えてきます。
次回はそうした細かい部分の交換などを考えていきましょう。
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