シリーズ「間違いだらけの部屋掃除」 キッチン編[第3回]

「その日に掃除」を習慣化するコツ

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お手入れ悩みラクラク

掃除の基本は元のキレイな状態に戻すことだという中村美香さん。「元のキレイな状態」がどんなものであるか、明確だからこそ、日々のお掃除も明確になるのです。シリーズ最終回となる今回は、アイランドキッチン周辺のお掃除とキレイを維持するコツを伺いました。

オーブンレンジも冷蔵庫も、汚れはその日のうちに対処

前回は、シンクやガスコンロ、レンジフードのお掃除を中村さんのキッチンで再現していただきました。日々の片づけに「プラスアルファ」のケアを重ねることで「試練」のような大掃除から解放されるのは、ほかの場所でも同じだと言います。

食器を片付け、シンクまわりが整ったら、床や壁にも汚れがないかをチェックして、その都度、アルカリ電解水で拭っておく。アイランドキッチン背面に並ぶ調理家電、オーブンレンジも中までササっとダスターで拭き掃除です。

「この家は、食卓テーブルからアイランドキッチン越しにキッチンの背面が見える造りになっているので、食器棚や冷蔵庫の汚れも見落とせません」という中村さん。確かに料理中に開け閉めを繰り返す冷蔵庫などは、気が付かないうちに汚れてしまう場所でもあります。

「キッチンの汚れは使ったら拭いておく、このちょっとしたひと手間を惜しまなければ大掃除は必要ありません」という中村さんは、掃除がしやすいように、普段から余計なものは並べないように気を付けているのだと言います。

 そういえば、一般的な家庭では定番ともいえる手拭きタオルやキッチンマットも見かけませんでした。

「風水上、キッチンマットは使った方が良いそうなのですが……。でも、マットは洗濯をする手間がかかりますが、マットがなければ床を拭き取るだけで済みますよね!」という中村さんは、タオル類も使い捨てのダスターとキッチンペーパーで代用し、繰り返し洗って使うものは食器を拭くためのクロスだけに厳選されているそうです。

モノには定位置を決め、使ったらあるべき場所へ戻すこと

 調味料や調理器具など、さまざまな道具があふれるキッチンですが、中村さんのキッチンは、全てのモノに帰る場所が定められています。モノがあふれれば、乱雑に見えるだけではなく、本当に使いたいモノがどこにあるのか、探す手間にもなってしまいますよね。こうした労力に時間をかけないためにも、元の場所へ戻す一手間が必要になるのです。

 もう一つ、中村さんのキッチンは色を「白」に統一していることも大きなポイントだと言います。引き出しの中に片付けられるものはしまい、外に出てしまうものは白いケースを並べ、その中に種類を分けて収納しています。これで使いたいものが迷子になることもありません。形や色を揃えることで生まれるスッキリ感、これも見習いたいところです。

床に直置きしない工夫でスムーズな掃除が実現

 食後の片づけが終わり、全てのモノが収まるところへ収まると、次はキッチンに面したダイニングへ移動です。

 中村さんは「モノを床に直接置かないことが掃除の手間を省く大切な要素」だと言います。確かに、床に直置きしてあるものはダイニングテーブルとワインセラーだけ。本来ならあるはずのテレビ台も「テレビを壁かけにする」ことで床のスペースをより広く確保しています。

「床掃除をするときは、床にモノがないほうがラクですよね。私はダイニングテーブルの上に椅子も逆さまにして上げてしまいます」
小学校の掃除の時間で見られた、アノ懐かしい風景を思い出しますね。

 これで椅子の足の汚れも拭き取れますし、掃除機や雑巾がけもスムーズになります。電話やワインセラーのコード類も壁と同じ白色の配線カバーでカモフラージュ。床に乱雑に散らからないよう、あらかじめ壁にまとめられていました。こうした一工夫があるからこそ、コード類を避けて四角い部屋を丸く掃く……、ということにはならないのです。

 中村さんは、部屋をキレイに保つルールを「整理収納7:掃除2:インテリア1」の割合だと言います。

 来客前に慌てて散らかったモノを隠して、一生懸命に掃除をしたところで、その場は凌げても数日で元の散らかった状態に戻ってしまうのは、目に見えています。素敵な雑貨やインテリアにお金をかけたところで、それ以外のモノがあふれていたり、ほこりが溜まっていたりしては、キレイな部屋とは言えません。

 汚したものは元のキレイな状態に戻し、使ったものは元の場所に戻すこと。どちらも確立された定位置と、磨き抜かれた「元の状態」が明確であってこそ、維持される「キレイ」なのだということを思い知らされました。まずは、中村さんの言う「元のキレイな状態」を作りこむところからスタートしたいものです。

お話を伺った方

中村美香さん

整理収納アドバイザーとして、収納に関する著書多数。ブログ「美しい暮らしのエッセンス」では、すぐに役立つ収納やハウスキーピングの情報を発信中。

文・山田章子 撮影・末松正義 三星雅人

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