シリーズ「間違いだらけの部屋掃除」 キッチン編[第1回]

「毎日5分」の習慣で、汚れ知らずのキッチンに

空間
キッチン
関心
お手入れ悩みラクラク

キッチンは家族の健康を支える場所であるとともに、家族や友人が集う場でもあります。そんな大切な役割を担うキッチンや食卓周りは、最もキレイにしておきたいところである反面、最も汚れがたまりやすく、掃除が困難なスペースだと感じている方も多いのではないでしょうか。整理収納アドバイザーの中村美香さんは、調理器具や食器を洗う……。こうした日常の延長にある「日々の片づけ」こそがキッチンを美しく保つポイントだと言います。

中村美香さんの「片づけの流儀」とは

「食後の片づけというと、食器や調理器具を洗ってしまうことで『片づけ完了』にしてしまう方も多いかもしれませんが、私の片づけは『元の綺麗な状態に戻す』ことを基本にしています。食器を洗ったら、次は油が飛んだコンロまわりを拭いて、排水口の受け皿、排水トラップを取り出して洗い、最後はシンクを洗って水滴を拭きとるまで。この一連の作業が食後の片づけになります」と中村さんは言います。

 これだけの作業を食後の数十分で行うのは、とてもムリ……。大量の掃除道具、何種類もの洗剤が必要なのでは? そんな疑問も中村さんのキッチンを見ていると「自分にもできるかもしれない」と思えるくらい、ここには溜まった汚れが見当たらないのです。

一連の作業を習慣化することでキレイを保つ

「掃除は汚れが付いてしまってからやるのでは遅いのです。溜め込めば溜め込むほど大変になります。でも、もともと綺麗な状態を保っていれば、シンクもコンロも1枚のダスターで拭きとるだけできれいになります。日常の油汚れならコンロも床もアルカリ電解水1本だけで済ませてしまいます」
 そう話す中村さんに、日常的に行っているというシンクの掃除を再現してもらいました。

 まずは、アルカリ電解水のボトルを取り出してコンロまわりと壁にシュッシュッと吹きかけます。
 しかし、「すぐには拭き取りません。酸性の油汚れはアルカリで中和されるので、5分以上は放置しておきます」

 日常的な順序として、食器を拭いてしまったあとに、「コンロ洗剤吹き付け」→「シンクの掃除」→「コンロ周りの拭き上げ」を行います。

「いつまでもピカピカの状態を保っておきたいから、プラスティック製よりもお手入れしやすいステンレス製に買い替えました」という受け皿は、確かにお手入れが簡単そう。ホントにピカピカなので、まるで調理器具の一つかと見まごうばかりの美しさです。

 次に「ポコッ」と取り出したのは、排水口のにおい戻りを防御するための排水トラップ。これを素手で触り洗えるのは、毎日欠かさないお手入れの賜物と言わざるを得ません。

「排水口まわりも、普段は食器と同じようにスポンジやブラシで洗うだけですが、汚れが気になるときは専用の排水口クリーナーを使っています」
そう言って見せていただいたのが、「アイセン すきまマイスター 排水口クリーナー」です。

 L字型に曲がったスポンジ製の先端と細かなブラシが付いた柄の長いスティック型で、排水トラップの奥まで届き、汚れを掻き出してくれる便利グッズです。

 手の届く排水口までが食器洗いの延長にある「日常の片づけ」という中村さん。
 最後にシンクまわりとシンクの中を乾いた布で拭きとり、乾燥した状態を保つことが衛生面でも欠かせないキッチン清掃のポイントだと話してくれました。
 最低でも、1日1時間はシンクを乾燥させることで、カルキのこびりつきや菌の繁殖を抑えることができるのだそうです。

リセットされた気持ちよさを視覚で身に付ける

 キッチンを片付け終わると、真っ白なスポンジと白いケースに移し替えられた洗剤が1本、ガスコンロからワークトップまで一枚で磨き上げたダスターだけが収まるところに収まりました。シンクまわりに見えるものは最低限に厳選し、色を統一することでスッキリ感はパワーアップしているように感じました。この状態に戻ってはじめて「片づけ完了」となります。

 食器を片付け終えてからのお掃除はわずか5分程度。この程度の時間と手間でキレイを保てるのならば、見習わない手はありません。

 排水トラップを素手で触るのは不可能という状態から、食器用のスポンジ一つで洗えるキッチンを目指すべく、受け皿とトラップを注文して、新調リセットという裏技で、中村式のキレイなキッチンを目指すのも一手かもしれません。

 次回はガス台まわりのお掃除を中村さんにご指南いただきます。

お話を伺った方

中村美香さん

整理収納アドバイザーとして、収納に関する著書多数。ブログ「美しい暮らしのエッセンス」では、すぐに役立つ収納やハウスキーピングの情報を発信中。

文・山田章子 撮影・末松正義 三星雅人

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)