見せるキッチン、隠すキッチン[第3回]

棚、布、バスケット……。道具の上手な隠し方

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デザインお手入れ整理収納

見せるところは見せ、隠すところは隠し、メリハリのあるキッチン収納を実践するスタイリストのミヤマカオリさんに、収納のセオリーと“見せる収納”の具体例を教えていただきました。
今回は“隠す収納”の具体例をご紹介します。

キッチンがスッキリ見える“隠す収納”

生活感を出したくないものを隠すと見た目にスッキリする。

 引き出しや扉付きの収納棚にモノをしまう“隠す収納”は、すなわち生活感を隠す収納。見た目にスッキリ見えるのが大きなメリットです。
「表に出したくないもの、調味料や食品などストック類の収納にあてています」とミヤマさん。

 一方、“隠す収納”のデメリットは、引き出しを引いて取り出す、扉を開けて取り出すなど、2アクション以上の行為を必要とし、取り出すにしても元の位置に戻すにしても、手間がかかる点です。
 何がどこに入っているか、わかりにくくなってしまうのもマイナスポイント。それらを防ぐ収納方法を心がけましょう。

シンク下は排水管をまたいでセットできる棚を活用

 調理の際に使うボウル、ザル、鍋などの収納は、シンクの下、その左右のキャビネットや吊り棚など、手がすぐ届き、出し入れがラクな場所であればどこでもOK。ただ一般的にはシンクや調理台の下部を使用するケースが多いことでしょう。

奥にしまうものはトレーなどにまとめて、出しやすくする工夫を。

 引き出しタイプと扉タイプがありますが、扉タイプの収納であれば排水管を避けてセットできる棚をプラスし、空間を立体的に活用します。
「うちのキッチンではザルとボウルを重ねて下段に、調理時に必要なバットや小さなガラスボウルは重ねて中断に収納。キッチンの掃除に使用する洗剤類はプラスチックカゴに入れて下段奥に収納していますが、頻繁に使う漂白剤や除菌剤は、取り出しやすいカゴの手前が定位置です。シンク下は奥行きのある空間なので、奥にしまうものはバスケットやトレーなどにまとめ、簡単に引き出せるようにしています」

 扉の裏側もフックやラックを取り付ければ収納場所に。
 ミヤマさん宅では三角コーナーで使用するビニール袋や、落とし蓋、スライサーなどを収納しています。

バスケットを利用した集中収納

目的別にバスケットやプラスチックケースなどにまとめ、定位置に収納すると出し入れしやすく、モノの行方不明を防止できる。

 キッチンにはカタチがバラバラで細々したものがたくさんあります。これらは目的別にバスケットやプラスチックケースなどにまとめ、定位置を設けるとスッキリ収納でき、出し入れもラク。モノが行方不明になることも防げます。

 ミヤマさん宅ではキッチンとダイニングの間にあるコンソール・カウンターの下に組み込んだ3つのバスケットを、食品、密閉容器、お弁当グッズの収納にあてています。キッチン側から引き出して使う収納で、ダイニング側からはこれらの存在がまったくわからない“隠す収納”となっています。

布で隠すのもひとつの方法

布1枚で見せたくないものを簡単に隠せる。

 オープン棚の中身を見せたくない場合は、突っ張り棒と布で隠してしまうのも簡単で効果的な方法です。

 ミヤマさん宅ではキッチンとダイニングの間に配置したカウンターで、カウンターの下部に収納したものが見えないようにダイニング側にクロスを取り付け目隠しています。お洒落なキッチンクロスなどを利用するもよいでしょう。

高い場所では取手付きケースにまとめるのが有効

取って付きのケースなら高いところに収納しても取りやすい。

 キッチンや食器棚には、踏み台にのらないと取り出せないような高い位置や、しゃがみ込まないと取り出せないような場所にも収納スペースがあります。こうした場所には使用頻度の低いものを収納するのがセオリーですが、それだけでは済まされない場合もあります。

「わが家ではキッチンの吊り戸棚に食品のストックを収納しています。取り出しにくい場所ではありますが、取っ手付きのプラスチックケースを利用。取っ手があれば、高い位置でもケースごと取り出せてラクですよ。どこに入れたか忘れてしまいそうなら、ケースにラベルを付けておくのもいいですね」

扉や引き出しを開けときに、何が入っているか一目でわかることがベスト。

“隠す収納”では、扉や引出しを開けたときに、何がどこに入っているか、わかりやすくしておくことが使いやすさのポイントになります。

“見せる収納”“隠す収納”、それぞれのメリット、デメリットを理解してテクニックを活用。ストレスのないキッチン収納を目指しましょう。

お話を伺った方

ミヤマカオリさん

収納をはじめインテリア、料理、手作り雑貨、DIYなど、生活全般のジャンルを手掛けるスタイリスト。収納整理アドバイザーの資格を保持し、雑誌・書籍で一般家庭の収納をアドバイスした企画多数。夫、息子との3人暮らし。

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