見せるキッチン、隠すキッチン[第2回]

食器や調理器具を「あえて見せる」という選択肢

空間
キッチン
関心
デザインお手入れ整理収納

前回は、「見せるところは見せ、隠すところは隠す」という、メリハリのあるキッチン収納のセオリーを、スタイリストのミヤマカオリさんに教えていただきました。今回は“見せる収納”の具体的な方法をご紹介します。

見せる収納=頻繁に使うモノ&デザインのよいモノ

頻繁に使うモノと飾るモノをバランスよく配置するのが「見せる収納」のポイント。

「見せる収納には2つのパターンがあります」というミヤマさん。
 ひとつは頻繁に使うモノの収納、もうひとつは“あえて見せたい”、つまり飾ることを目的にした収納です。

 隠す収納のほうが、キッチンはスッキリ見えるのですが、見せる収納はサッと取って使え、すぐに元の場所に戻せるメリットがあります。またお気に入りの鍋や食器などを飾っておくと、気持ちがあがり、料理や片付けが楽しくなる効果もあります。

 ただし、見せる収納は基本的に出し放しなので、汚れやすい、テイストの違うものを見せるとゴチャゴチャした印象になるといったデメリットもあります。メリット、デメリットを理解した上で、取り入れたいものです。

素材や色を統一してスッキリ見せる

まな板はシェルフの上部に収納することで、さらりと隠せて衛生的に乾燥できる。

ラップやアルミホイルは、ケースに入れて冷蔵庫の側面にセット。使いやすくいやすく見た目もグッド。

 ミヤマさん宅のシンクの上には、上下で突っ張って固定するタイプのステンレス製のシェルフが取り付けられています。そこには同じくステンレス製のレードルや泡立て器、茶漉し、マッシャーなどのキッチンツールが掛かっています。

「キッチングッズには機能性もデザイン性も兼ね備えたモノが多く、そういうものは“見せる収納”に適していると思います。例えば業務用のようなステンレスのモノで統一すれば、出したままにしておいてもスッキリ見えます」

食器や小物の色を統一すると、出したままでもスッキリ見せる視覚効果が期待でいる。

 ラップやアルミホイルを、シンク横の冷蔵庫の側面に固定したマグネットホルダーに収納する際、白い専用ケースに入れ替えているのもポイントです。

 食器を洗う中性洗剤やハンドソープも、白のソープディスペンサーに入れ替え、スポンジやたわしなどの掃除グッズも、白いホーローのカップに入れて置くという徹底ぶり。

「パッケージの色が様々な場合、そのまま出し放しにしてしまうとキッチンが色の洪水でゴチャゴチャに見えます。派手な色柄のものは容器を入れ替え、色を統一すれば、空間をスッキリ見せることができますよ」

家電製品は出した状態で。炊飯器はスライド版の上に置いて、炊飯時は手前に引き出して湯気を逃がしている。

家電やゴミ箱はオープンシェルフに収納


 電子レンジや炊飯器、トースターなどの家電は、出した状態で使うものです。置き場所に困ったら、オープン棚を用意するとよいでしょう。

「空間に合わせて選ぶのなら、棚板の幅や高さが選べるワイヤーシェルフがおすすめです。最も使いやすい高さのところに、炊飯器とトースターを置いているのですが、炊飯器を置いている棚板は、手前にスライドできるので、水蒸気が立ち昇っても大丈夫。このタイプの棚は、必要な機能に合わせてパーツが選べるので便利ですよ」

 キッチンではゴミ箱の定位置も大切です。ミヤマさん宅ではオープン棚の下部に、3つのゴミ箱をセット。サッと捨てられるほうが便利なので、隠すタイプの収納ではありませんが、ゴミ箱のデザインに配慮するとともに、目立たない位置に配置しています。

目立たせたくないけれど使いやすところに置きたいので、オープン棚の下に分別できるゴミ箱をセット。

家族が使うモノは“見せる収納”でわかりやすく

子どもでもすぐに取り出せる上に見た目もスッキリするマグツリー。

クロス1枚かけることで機能性を維持しながら美的にも満足できる。

 例えば家族が使うマグカップは、誰でも取れるようにマグツリーなどにかけて見せる収納にしてはいかがでしょう。ミヤマさん宅ではこのマグツリーをキッチンとダイニングの間にあるカウンター上に置いています。

「キッチン側からもダイニング側からも取りやすく、家族の誰もが手に取りやすくなっています。毎日必ず使う家族用のお椀や茶碗、箸などは、トレーやカゴにセットして、上にクロスをかけてカウンターやオープン棚に置いておくのもおすすめです。子供に夕食のテーブルセッティングをお手伝いしてもらう、なんてときにも便利ですね」

 今回はキッチンでの機能性と美的感覚に合わせて実践したい見せる収納の方法をご紹介しました。

お話を伺った方

ミヤマカオリさん

収納をはじめインテリア、料理、手作り雑貨、DIYなど、生活全般のジャンルを手掛けるスタイリスト。収納整理アドバイザーの資格を保持し、雑誌・書籍で一般家庭の収納をアドバイスした企画多数。夫、息子との3人暮らし。

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