押入れ・納戸でつくる防災収納

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防災整理収納

こんにちは!整理収納アドバイザーの川村あゆみです。前回は、キッチンでの食材備蓄(ローリングストック方)をご紹介しました。 今回は、自宅避難のための非常食や水、トイレ用品などの保管場所と、災害時にも役立つ消耗品の管理方法についてご紹介します。

防災グッズの備蓄保有率48.8% エリア別では北海道が53.8%で最多

2011年3月11日の東日本大震災の発生から8年後、ソフトブレーン・フィールド株式会社が、「防災への備えに関する意識調査」をした結果の一部です。

アンケート結果より

「昨年発生した北海道胆振東部地震後のブラックアウトを経験してから、更に防災意識が高まり、ラジオ、懐中電灯、現金などを用意するようになった(30代)」

「東日本大震災のタイミングで防災グッズを購入。それ以降9月1日の防災の日に準備したものを点検している(60代東京在住)」

など、災害の記憶や経験が防災への備えを見直すきっかけになっているようです。 しかし、まだまだ優先順位の低い方がいるのも確かです。

備蓄ができない!?現状の押入れ

もしものときのために備えておかないといけないとは思いつつ、まだ何もできていないという理由としてあげられるのは「収納場所がつくれない」ということです。

整理収納アドバイザーと一緒に片づけをする「整理収納サービス」を利用されたお客様の一例です。 整理をすると押入れには不要なものがたくさん詰まっておりました。

・家族の人数より多い布団類

・あることさえ忘れていた家電

・大量のタオル類

など、本当に必要なものは1/3程度でした。日本の住宅事情を考えると余分なスペースはないかもしれませんが、整理収納サービスを利用するお客様のほとんどが整理をすることにより空きスペースを作ることが出来ています。本当に必要な物だけを残し、命を守るための備蓄スペースを優先しましょう。

 

押入れ・納戸に災害用備蓄収納を作ろう!

ポイント1 備蓄専用エリアをつくる

我が家は押入れの1/4、正面より右下部分を備蓄専用エリアとしています。奥には、水(2リットル×6本)を4箱、計24本と5年長期保存可能なカゴメ㈱野菜ジュース(190g×30本)をストックしています。

手前には長期保存食と日用品を分けてニトリのインボックスを使用しています。 引き出し式の収納道具は重たい物をいれ長期保管をするとたわみの原因になります。ニトリのインボックスは収納力(内寸サイズ幅37 × 奥行25 × 高さ23cm)もあり箱自体が軽く(約706g)重ねることもでき備蓄収納用品としておすすめです。蓋を置けばテーブルとしても使うことが出来ます。

ポイント2 賞味期限が見えるようにする

賞味期限をみえるように入れて置くと見直しをする際に便利です。賞味期限の印字が小さい、見えにくい場所にある場合は、太ペンで大きく書き足しておきましょう。

日用品の備蓄は、非常用トイレ・乾電池各種・ラジオ・ビニール袋・生理用品・ウエットテッシュを備えています。そして、トイレットペーパーとテッシュペーパーは普段の生活のストック量より1セット多く購入しローリングストック方で管理しています。

ポイント3 ラベリングをして家族全員がわかるようにする

防災グッズは用意した人だけが知っていても意味がありません。災害があった時に自分が家にいるとは限らず、子どもが一人で家にいるときかもしれません。家族にも共有し皆で意識していることが大切です。そして、ラベリングをしておくと、いちいち箱を開けて中身を確認する手間も省けます。

命を繋ぐ備蓄品「水」は分散収納をしよう

災害によって一軒家の場合は1階の被害が大きく落ち着くまで2階で過ごすことになったり、マンションの場合は部屋の扉が倒壊等により開かなくなり閉じ込められる可能性があります。そのような状況を想定すると各部屋に最低限「水」を収納しておくことが必要です。

また、備蓄専用エリアの面積が小さい場合は各部屋に「分散収納」をすることにより専用エリアの量を減らすこともできます。写真は我が家の2階子ども部屋のクローゼット内です。備えてあるだけでも安心感を得られます。

備えあれば憂いなし!車にも防災グッズを準備しよう

災害が起こる時はいつも家にいるわけではありません。車で出かけている途中に被災する可能性もありますので車内にも備えておきましょう。我が家の車内備蓄をご紹介します。(左上より時計回り)

・シガーソケット対応USB充電ケーブル

・緊急脱出用ハンマー

・LEDライト

・クッション

・水

・ショートブレット(大塚製薬カロリーメイト)

・カイロ

車のシガーソケット部分に差し込めば、携帯電話の充電ができるUSB充電ケーブルは、胆振東部地震の大規模停電の際には大いに役立ちました。車のガラスは強化ガラスのように頑丈に加工されているので、普通のハンマーでは割れません。専用のハンマーを備えておくと、水害にも対応できます。シートベルトを切ることができるナイフも取り付けられているので、小さいお子さんのいるご家庭では取り扱いに注意して保管してください。車内は季節によっては高温になります、非常食としては溶けることなく保管でき腹持ちの良いショートブレットがおすすめです。

クッションには一工夫してあり、中には家で不必要になった毛布が入っています。毛布にカイロを足すと暖かさが増し防寒対策となります。毛布の他に、ブランケットやタオルを詰めてクッションにすることも可能です。家では不要になってもこのように防災グッズとして再利用することもできます。押入れや納戸に不要な毛布類がある場合はこのように役立ててみててはいかがでしょうか。又、季節外の毛布収納にお困りの場合も同じようにクッションとしてリビングで活用すればインテリアにもなります!

防災備蓄品は、ここに収納すると良いといった決まった場所はありません。安全に取りに行くことができ、家族全員が知っているといことが重要です。押入れ、納戸、クローゼットなど各ご家庭によって最適な場所はどこなのか、ご家族と話し合って決めてみてくださいね。次回はいよいよ最終回、「家族みんなで用意しよう。防災リュックのつくり方」をお届けします。

 

教えてくれたのはこの方

川村あゆみさん

 1981年生まれ 埼玉県出身/北海道札幌市在住
小さい頃から家具屋と文房具屋好きでお部屋の模様替えを繰り返す日々。結婚出産を経て「整理収納アドバイザー」の資格と出会い、2013年「SkipLife*川村あゆみ」として独立。自宅の収納公開付き講座をはじめ、カルチャースクール、企業での外部講座も行う。訪問サービスでは、1人1人に合わせた整理方法とオーダーメイド収納を提案している。収納部分を何度も見返したくなる「うっとり収納」を得意としている。

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)