「米を炊くときは、米の1.2倍の水で、と言われています。これが実は魔物なのです。1合のお米は180cc=150グラム。ではその1.2倍の水って? 180ccの1.2倍は216ccです。けれど、150グラムの1.2倍は180グラム、つまり180ccなのです。このへんで、みなさん混同してしまっているんですね」と小野瀬さん。
米も水も、同じカップで同じ分量を量れば、自然と「水は米の1.2倍」になるというわけです。
また、小野瀬さんはこうも指摘します。
「3~5合ほどのお米を炊く場合、体積で同量の水を基本にすれば大丈夫ですが、1~2合のやや少なめのごはんを炊く場合は、水分が蒸発しやすいので、10cc~15cc水を多めに入れるのが良いでしょう。また洗米の最初と同様、ここでも浄水器を通した水やミネラルウォーターがおすすめです」
「浸水している間は、もし冷蔵庫に余裕があればそこに入れておきましょう。炊くときに低い温度から一気に温度を上げていく方がおいしく炊けます。理想は0℃ですが、なかなかそこまでは無理でしょう。冷蔵庫に入れておけば、鍋そのものも冷えるので、炊き始めの温度が下がります」
この浸水の時間で、炊きたてのごはんと一緒に食べるおかずやお味噌汁を作るのもいいでしょう。
沸騰までの時間の目安は10分。それより早い場合は火が強すぎたということです。何度も繰り返せば、自分の家のコンロや使っている鍋の特性が分かってきます。一般に、アルミやステンレスの鍋は熱伝導性が良いので沸騰時間が早く、土鍋や鋳物の鍋は、それ自体が温まりにくいので時間がかかり、強めの火で炊き始めてもOKです。
「この沸騰までの時間で、炊きあがりの食感が変わります。10分を目安にして、それより早いと固めの食感になります。8分くらいはかけたいところです。遅いと柔らかめの食感になります。12分くらいまでで、それよりかかると全体にべちゃっとしたごはんになってしまいます」と小野瀬さん。
また、LIXIL製品のガスコンロの中には、自動で炊飯してくれるモードがあります。これも、およそ10分で沸騰するように火加減を調整しているのです。
6:炊飯中 沸騰してから10分
沸騰したところで火を中火の弱くらいに落とします。このとき、弱めすぎると中でうまく対流が起きません。けれど、強すぎると水分が早く蒸発して焦げてしまいます。蓋がうんと重い鋳物の鍋でも、ふつふつと沸騰して湯気が立ち上り、コトコトと蓋を持ち上げたりしますので、そのくらいが目安です。
土鍋や鋳物の鍋は一度温まると火持ちがいいので、沸騰したらかなり火を弱めてもうまく対流してくれます。
コトコトいわなくなったら、余分な水分が飛んでいる証拠ですので、火を弱めましょう。火を止めるまでの時間は10分を目安に。時々香りを嗅いで、焦げた臭いがした場合は、そこで火を止めましょう。
「そのまま火を止めれば良いのですが、もう一つの楽しみ『お焦げ』が欲しいときは、火を止める前に火力を最大にして10秒~15秒。これで、美味しいお焦げが出来ます」と小野瀬さん。
7:蒸らし あと10分のガマン!
蒸らしを10分したら炊きあがりです。この「10分-10分-10分」が、誰でも失敗なく、直火で美味しくごはんを炊くメソッドです。
電気炊飯器は炊き上がるまでに40分~1時間かかりますが、これは米を洗ってすぐ炊きはじめるせっかちな人がいるため。浸水時間のマージンを含め、時間をかけて炊く設定になっているのです。
「電気炊飯器でも、きちんと浸水をすれば早炊きモードで炊くことをおすすめします。これは『10分-10分-10分』のメソッドとかなり近い炊き方なのです」と小野瀬さん。
蒸らしが終わったらよくほぐして水分を飛ばし、お茶碗によそって、さあ、今年の新米を召し上がれ!
次回は、ごはんを直火で炊くための炊飯釜の種類と特徴を解説します!
RICHELLE (リシェル SI)
会員登録 が必要です