
新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増えました。「奥さまの家事の負担を軽くしよう」と、料理にチャレンジする男性著名人のSNSも話題になりましたね。そこで今回は、スーパーで手ごろに買えるインスタント食や保存食をアレンジして、美味しく食べられるレシピをご紹介します。第1回は「インスタント麺」編です。
リモートワークが増えて、それまで料理をしなかった人が、料理を作る「家メシおとこ」に変身しています。スーパーで買えるもの、家にストックしてあるもので、手早く簡単に、料理経験がなくても、毎日作れる料理をご紹介します。
第一弾は冷やしラーメン。
液体スープのインスタント麺を使って、キンと冷えたラーメンを作ります。醤油味、塩味はお好みで。トッピングはトマトとアボカドです。トマトの酸味とオリーブオイルの香りで、さっぱりいただきましょう!
アボカドに、縦に包丁を入れ両手で瓶の蓋を開けるようにくいっと回すと、半分に切れます。種が残っているほうには、包丁のあごの部分をトンと立て、軽く回して種を取りましょう。種が取れたら、手で皮をむいてから、8ミリ~1センチくらいの角切りにします。トマトも同じくらいの大きさにカット。よく熟れたもののほうが美味しくいただけます。
トマトとアボカドをボウルなどに入れ、塩をひとつまみ(三本の指でつまめるくらいの量)。ここでしばらく冷蔵庫に置いておくと、トマトから水分が出て、いい調味料になります。
沸騰したお湯に麺を入れます。麺をお湯の中に入れたら、グラグラ茹ですぎないのがコツ。お湯が軽く対流するくらいの火加減に調節しましょう。こうすると、麺の表面が荒れず、つるっと仕上がります。
ラーメンの場合は、お湯に入れたら1分ほどそのまま置いたあとでひっくり返します。だんだん麺の塊がほぐれてきたら、菜箸などでそっとほぐしていきます。今回は氷水で締めるので、袋に書いてある茹で時間より、30秒~1分ほど長めに茹でましょう。
時間になったらざるに上げ、流水で洗います。最初は熱いのでご注意。ここでよく洗うと、麺の表面のぬめりが洗い流されて食感がアップします。
粗熱をとり、水で洗った麺を氷水の中に入れ、冷やしましょう。
器の中にラーメンの液体スープを入れ、氷水を加えます。麺もスープもキンキンにしたほうが美味しくいただけます。
冷蔵庫からトマトとアボカドを取り出し、エクストラバー-ジンオリーブオイルを加えて和えます。器に麺を入れ、アボカドとトマトをのせてできあがりです。バジルなどがあれば添えるといいでしょう。お好みで、胡椒をかけて召し上がれ!
爽やかで夏バテ気味のカラダにも優しいアボカドとトマトの冷やしラーメン。
スペイン人に言わせると、「夏バテしないのはガスパチョのおかげだ!」とのこと。ガスパチョとはトマトの冷製スープのこと。スペインでは定番で、スーパーでは牛乳のように1リットルのパックで売られていたりする、日常的な食べものです。
このガスパチョ、とても簡単に作れます。そこで、ガスパチョをつゆ代わりに、日本の夏の定番、素麺はいかがでしょう。
家庭にあるミキサーや、小型でお手軽なミルミキサーと言われるものを使います。
ニンニクは1人分で半片くらい。ニンニクが好きな人はたっぷり使ってもいいのですが、あまりたくさん入れすぎるとニンニクの辛みが目立ちます。胃が弱い人などは、ニンニクをラップに包んで30秒くらい電子レンジで加熱してもいいでしょう。生のニンニクに入っている成分が加熱され、胃に優しい成分に変わり、においも和らぎます。
トマトは室温で追熟させた真っ赤なものがおすすめ。ざくざくと切って入れます。キュウリが入るとあっさり爽やかな味わいに、入れなければ濃厚になります。セロリを入れてもいいでしょう。パプリカやピーマンも同じです。
パンは、とろみを付けるために入れます。ほんの少しでかまいませんし、さらっとしたつけ汁がよければ入れなくてもかまいません。
そこに、塩を少々(親指と人差し指の二本指でつまんだ量)、エクストラバージンオリーブオイル、お酢を加えます。お酢は疲労回復の効果があります。果実の香りとほんのり甘みがあるバルサミコビネガーや、スペインのシェリー酒から作ったシャリービネガーがおすすめです。
材料をミキサーに入れたら、ミキサーを回します。できたガスパチョは、冷蔵庫に入れて冷やしておきましょう。もし、作ってすぐに食べたいときは、ミキサーの中に氷をひとかけ入れるといいでしょう。
素麺を茹でます。ちょっとコツを覚えると、絶妙のゆであがりに。
沸騰したお湯に素麺をパラパラとくっつかないように入れます。火加減はやや強めの中火です。お湯になじんだら、菜箸などでくっつかないように軽くほぐしている間に、お湯が沸騰してきます。
ここで、吹きこぼれる直前に、コップ半分の水を入れます。すると鍋の中は再び静かになります。そのまま待っていると、再び沸騰して吹きこぼれようと泡が上がってきます。ここで、もう一度、コップ半分の水を入れます。
さらに沸騰してきたら、ざるにあげ、流水で冷やしてから氷水で締めます。このタイミングだと、熱い麺を食べて堅さを確かめることなく、絶妙の茹で加減になります。
ガスパチョには好みでスライスしたオリーブや余ったキュウリ、パプリカを薬味として添えてもいいでしょう。自分なりの味加減で召し上がれ!
有名な稲庭うどん以外にも、徳島の半田めん、長崎・五島列島の五島うどん、富山の氷見うどん、群馬の手振りうどんなど、日本には美味しい乾麺がたくさんあります。そんなうどんを冷たく、そして風味たっぷりにいただく「ごま汁うどん」をご紹介しましょう。
ごま汁うどんは、栃木県の各地や群馬県太田市あたりにかけて夏によく食べられています。細麺の乾麺を茹でておき、練りごまをたっぷり使ったつけ汁いただきます。ミョウガや大葉、キュウリなどの薬味をたっぷり添えるので、まるでサラダを食べているようです。
作り方はとても簡単です。うどんを茹でたら、あとは火を使わず、薬味を切り、つけ汁を合わせるだけです。
ボウルなどに、練りごまを入れ、めんつゆを少しずつ入れて、スプーンなどでごまを溶かしていきます。ペースト部分は意外に堅いので、ここでしっかりのばしておくといいでしょう。
分量はお好みです。めんつゆは、濃縮タイプなら、容器に書いてあるとおりの分量の水を加えてください。お酢はあまり入れすぎるとバランスが悪くなるので、味見しながらお好みで。いただく直前まで冷蔵庫で冷やしておきましょう。
乾麺のうどんは、種類やメーカーによって茹で時間が違います。袋に書かれているとおりに茹でればいいでしょう。ポイントは、あまり火を強くしないこと。麺がゆっくり対流するくらいの火加減にすると、麺の表面が荒れずにつるつるとした食感に茹であがります。
茹だったら、ざるに上げ、流水で冷やします。粗熱が取れたところで、もみ洗いをしましょう。表面のぬめりをとると食感がアップします。
麺を小さなお椀に一口分入れ、くるくると玉にしてから器に盛ります。こうすると、食べるときに一口分ずつ箸で取りやすくなります。
うどんを盛り付けた器に千切りにした薬味をのせる。ごまと酢が入っているのでノンオイルの胡麻ドレッシング感覚でいただける。
(第2回に続く)
文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
「今日なにを呑む?」から始まる食事の新しいスタイルを提案する酒ごはん研究所主任研究員。料理はもちろん、ワイン、日本酒、本格焼酎やスピリッツ、カクテルとあらゆるお酒を研究している。
写真◎平野晋子