庭カフェ歴20年、いしかわじゅんさんが語る魅力 [後編]

実がなり枝が伸び……、経年と四季の変化を楽しむ

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初代ウッドデッキはパーティースペース

 いしかわじゅんさんのウッドデッキは2代目です。いまは、新聞連載の締め切りに追われる毎日のなか、仕事モードからオフに切り替えるための「庭カフェ」として使っていますが、初代のウッドデッキはこのような目的でつくったものではなかったようです。

コーヒーには一家言あるいしかわさん。行きつけのコーヒー豆ショップで豆を調達、自身で挽いたコーヒーを庭カフェで飲み、仕事モードをオフにする。

「家を建てるとき、最初からデッキは張ろうと思っていました。庭を3等分して、車2台分の駐車場と、木を植えるいわゆる庭と、くつろいだりパーティーをやったりできる平らなウッドデッキ。庭部分には、設計士から整然とした植栽を提案されましたが断って、シンボルツリーを1本だけ植えて、あとは適当。なにか好きな木を植えたり雑草が生えるままだったり、そのくらいの方が自分らしいかなと思って」

 こうして、シンプルなウッドデッキ付きの新築の仕事場兼住居が建ちました。

 当時、週刊誌などの連載をかかえ、アシスタントもいたので、ウッドデッキはバーベキューをしたり、お客さんを招いてパーティーをしたりする場所でもあったそうです。

 時は経ち、初代のウッドデッキは痛み、15年目にして張り替えを決意します。

作り直したウッドデッキ。2代目は奮発して耐久性に優れた高級木材を選んだ。

ウッドデッキの使い方・便利な活用方法

exterior100.lixil.co.jp/articles/39/

 使い方は変わっても、ウッドデッキの庭カフェの魅力は変わらないどころか、いしかわさんにとってはその重要度は増していたので、取り払うという選択肢はありませんでした。

「工務店の話では、木材のグレードを上げましょうと提案されました。なんだかわからないけれど、長持ちするというセールストークにのってしまいましたよ(笑)」
 予想していた金額の1.5倍くらいと高額だったそうですが、大切な時間を過ごす空間だからと、思い切ってグレードアップをします。

LIXILでは天然木のような風合いで耐久性に優れる人工木材の製品をラインアップ、ウッドデッキやサンルームに採用しています。


樹ら楽ステージ:

www.lixil.co.jp/lineup/gardenspace/kirarastage/

人工木材について:

www.lixil.co.jp/lineup/gardenspace/kirarastage/feature/material/

庭木はあえて手を入れないのが
いしかわさん流

庭木の枝は伸び、ツルが巻き付いたりしているが、道路からの目隠しになってプライバシーが保たれている。

 ウッドデッキは新しくなりましたが、庭は木や草が伸び放題。季節によって葉が色づき落ちるのも、自然のなすがままです。これがいしかわさん流の楽しみ方。

 秋に実をつけるヤマボウシには、何かのツルが巻きついています。枝も伸び放題ですが、ウッドデッキが地面を覆っているので、地面の雑草は気になりません。これはウッドデッキの大きなメリットの一つで、草取りに時間を割かれることがありません。枝が伸びた庭木も、道路から程よい目隠しになっていて、開放感を損なわずプライバシーが確保できています。

 庭木の中には、見慣れない柑橘類の木がありました。

「新築時に植えたシークワーサーですよ。沖縄から苗を持ってきて20年目にしてようやく実りました。昨夏は20個くらいだったけど、初めて実をつけた年は100個以上。実がなる植物は楽しいね」

沖縄から苗を持ってきて植えたシークワーサー。20年目の夏、ついに実をつけた。「やはり温暖化はすすんでいるのだろう」とはいしかわさんの実感。

暑くても寒くても快適な庭カフェ

 食べれば万病に効いて元気になるという沖縄の「ジャポチカバ」もプランターで育つようになったとか。沖縄の那覇市にマンションを借りてもうひとつの事務所にするほど沖縄好きのいしかわさんですが、東京の暑さには閉口します。ウッドデッキにはどのような工夫を取り入れているのでしょうか。

「たしかに、真夏は日よけが欠かせないですよね。探しに街に出たんだけど、どうも気に入ったものがなくて、結局、生地を買ってきて家内につくってもらいました」

 あとは蚊取り線香と虫よけスプレーが夏の庭カフェには欠かせないようですが、吉祥寺の住宅街の空気はコンクリートの街中とは違い、開放感も手伝い、少し風が吹けばかなり心地がいいそうです。

 いしかわさんは夏でなくても短パン、Tシャツ姿で吉祥寺を歩いているという目撃情報もあります。冬はそれなりに厚着をするそうですが、雨の日やよほど寒い日以外は、冬でも暖を取らずに庭カフェを楽しんでいます。

「おおげさじゃなくて、庭カフェに毎日出てみると地球の温暖化を実感する。なにしろ、沖縄の植物が冬でも枯れずに実をつけるくらい育つのだから」

寒くても暑くても、わずかな時間でいいから、部屋から「庭カフェ」に出て一息入れるいしかわさん。

 最後に、これから庭カフェをつくろうと思っている人に一言アドバイスをいただいた。

「ウッドデッキがなくたっていい。庭やベランダ、玄関先でもいい、イスの一つを出して、コーヒーでも紅茶でも、なんでもいいから外で1杯飲んでみる。庭が広いとか狭い、見た目に立派だとか貧相だとか関係ない。そこでわずかな時間でいいから過ごしてみると、きっと気分が変わりリラックスできると思います」

 コロナ禍で自宅にいる時間が長くなっているいまこそ、ベランダでも庭先でも、イスとテーブルを置いて、庭カフェを楽しんでみてはいかがでしょうか。

LIXILでは、ウッドデッキをはじめ、多彩なガーデンスペースのご提案をしています。


ガーデンスペース

www.lixil.co.jp/lineup/gardenspace/

≪お話を伺った方≫

いしかわじゅんさん

1951年、愛知県生まれ。明治大学卒業後、1年弱の社会人経験を経て漫画家へ転身。ギャグからシリアスな漫画まで幅広く作品を発表する一方、エッセイや漫画評論、小説、テレビや映画出演など多彩な分野で活躍している。2015年から毎日新聞朝刊の4コマ『桜田です!』を連載中。

文◎三星雅人 写真◎平野晋子

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