ベランダにプランターひとつあればOK!
朝飯前に葉をつまんで食卓に。こんなことが手軽にできるのも、ベランダ農園ならでは。
理由はどうあれ、こと新鮮さを求めるなら、家庭農園の採れたて野菜に勝るものはありません。
「庭が小さくて日当たりがあまりよくない」「集合住宅だから家庭農園なんて無理!」
いえ、大丈夫です。
土と水と種、そして、プランターをひとつ置けるスペースがあれば、家庭農園はできるのです。家を見渡して、農園を作れそうな場所を探してみましょう。
おすすめはベランダです。
物干し場や物置替わりになっている場合もあるかもしれませんが、ちょっと片付ければプランターひとつくらいなら置けるのでは。玄関先に花を植えるような手軽な感覚で農園はできるのです。
市民農園を借りたり、庭に本格的な農園をつくったりしようと思えば、土を耕し、夏場なら遮光ネットを張り……と、それなりの準備や道具が必要です。雑草や害虫の対策なども忘れてはなりません。水やりひとつとっても、なかなか手間がかかります。
しかし、ベランダでプランター栽培するなら、道具も必要最小限で済みますし、足元が土で汚れないので、部屋着やパジャマのままでできる手軽さも魅力。文字通り朝飯前に、成った実をちょっとつまんで食卓に並べることもできます。
秋に種をまけば年内に収穫できる
「季節によっても栽培に適した野菜が異なりますが、これからの時期で初心者の方でも育てやすいのは、ミズナやコマツナなどの葉物(はもの)野菜がおすすめです」
こうアドバイスしてくれたのは、タキイ種苗広報出版部の荒木匡子さん。
野菜にはそれぞれ生育するのに適した温度があり、生育適温でないとうまく育ちません。葉物や根菜は秋~冬、春の15~20度が適温です。逆に実のなる野菜(果菜=かさい)は高い温度を好むので、春~夏に育てます。野菜の原産地と関係が深く、似た気候の場所のほうが育ちやすいとされています。
「タネの袋には、栽培適期表がついているので、これを参考に種まきをしてください」
コマツナは秋に種まきして約1か月程度で収穫できる育てやすい野菜。
10月に種をまいて年内に収穫できるのは、葉物野菜ではホウレンソウ、ミズナ、コマツナ、リーフレタス、シュンギクなど、根菜ではラディッシュ(二十日ダイコン)、カブなどです。
ベランダ農園での栽培で人気のトマト、キュウリ、ナスなどの果菜は、春からの栽培が中心になります。スーパーマーケットでは1年中買うことができますが、ベランダ農園では、秋に種をまいても育ちません。植物には旬というものがあるからです。
ホームセンターでは、ゴールデンウィーク前後にさまざまな種類の苗が売られるので、果菜の場合は種まきからではなく、栽培期間が短くなるメリットもある苗からの栽培がおすすめです。
また、植物は光合成をして成長するので、1日中日が当たる場所で栽培するのが理想的です。日が十分に当たらないと、葉が薄く弱々しくなり、節間が長くひょろひょろと伸びてしまいます。
ミョウガは日陰でも育つ数少ない植物で手間もあまりかからない。来春に準備して夏に収穫。そうめんなどの薬味として重宝する。(写真◎三星雅人)
ですが、ハネギ、コマツナ、ホウレン草、シュンギクなどの葉物や、アサツキ、バジル、ルッコラなら、半日でも日が当たれば育てられますし、ミツバ、フキ、ミョウガは日陰でも育ちます。日当たりがよくないベランダで育てるなら、この点を考慮して作物を選びましょう。
暑さ寒さも彼岸まで。ようやく動きやすくなり、ベランダ農園をオープンさせるにはいい季節がやってきました。
次回は、プランターでの種まきから収穫までのポイントを紹介します。
(後編に続く)
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