住まいを〝自分色″にするエクステリア120%活用術[第2回]

「第2のリビング」ガーデンルームに注目

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「せっかくの庭付き住宅なのに、日常生活のなかで庭をうまく活用できていない……」
そんな方におすすめしたいのが「ガーデンルーム」。LIXILショールームに展示されている3タイプを見比べてみました。

「“お庭でブランチ”に憧れていたけれど、想像以上に芝生の手入れが大変」
「寒かったり、暑かったり、雨だったりで、庭やテラスが活用し切れていない」
「ウッドデッキを敷いたのに、隣の家や通行人の目が気になってくつろげない」

 念願の庭付き一戸建てに暮らし始めたものの、こうした不満や悩みを抱えている人は意外に多いのだとか。そこで、注目したいのがガーデンルームです。

 ガーデンルームとは、シースルーの屋根や壁に囲われたアウトドアの住空間。外にいる開放感と、室内にいるときの安心感・快適性の両方を得られるエクステリア商品なのです。季節や天候、周りの視線を気にせずに、庭やテラスを楽しめるなんて嬉しいですよね。

 エクステリア専門のショールーム「東京エクステリア」には、「暖蘭物語」「ココマ」「ジーマ」という3タイプのガーデンルームが展示されています。どれもとっても素敵で、憧れの気持ちがむくむくと。
 でも、これらの3つの違いって?
 案内役のLIXILエクステリア事業部の田中政幸さんに、それぞれの特徴を教えてもらいましょう。

希望の「過ごし方」を叶える3タイプのガーデンルーム

前面にデザインパネルを使った「暖蘭物語」。英国風コンサバトリースタイルが庭をおしゃれに演出します。扉にはフルガラス仕様もあり、前面を腰壁にするなどバリエーションは多彩。自分好みのガーデルンルームスが容易に実現できます。

「3つのガーデンルームの違いは、デザインと扉の開き方にあるんです。その空間でどのように過ごしたいのかによってタイプが変わってくるんですよ。
たとえば、『暖蘭物語』の場合、庭に面した折れ戸のパネルが自在に開閉できるのが特徴です。全開すれば庭とひと続きの空間になり、季節や天候によってはすべて閉めたり、一部だけを開けたりと柔軟な楽しみ方ができるんですよ」

 デザインにもこだわりがあり、展示されていたのは英国風コンサバトリー。曲線を取り入れた優雅なデザインは、イングリッシュガーデンによく似合いそうです。

 一方、「外の開放感を存分に味わいたい」という方にお薦めなのが「ジーマ」だそうです。

「このタイプは前面だけでなく、側面のパネルまでフルオープンにできるので、開け放てば風通しのいいテラスになるんです。もちろん、冬や雨の日にはすべてパネルを閉じて、外気から守られた居心地の良い空間にもできます。パネル枠を極限まで細くしたシンプルなデザインなので、どんな家にも合わせやすいのも『ジーマ』の特色ですね」

開放感重視の人にぴったりなのが「ジーマ」。折戸を開放すると、屋根だけの軒空間に変身します。屋根の部分は日差しをしっかり遮る内天井タイプと、空が見える透明なポリカーボネート屋根の2タイプから選べるのも魅力です。

 そして、3つめに見学したガーデンルームは「ココマ」。こちらは前面をシースルー素材でフィックスしているため、居心地は部屋そのもの。腰壁タイプを選べば、外からの目線をさえぎり、足元も隠せるので、プライバシーをしっかり守ることができます。

「このタイプは、屋外のスペースを居住空間として活用するために生まれたもの。実際、お子さんの遊び場にしたり、ペットのゲージ置いたりと、さまざまな用途に使われています。見た目にもリビングが延長されて、広々とした印象が生まれます。増築に近い感覚のエクステリア商品ですね」

「ココマ」は居住性を重視する人にぴったり。前面のパネルは固定され、横の扉から出入りします。展示されているのは腰壁タイプで、基本タイプの場合は足元までシースルーのパネルに。庭の景色がたっぷり楽しめます。

 どれも同じように思えるガーデルンルームですが、こうして比べてみると違いは歴然。庭の一部として捉えるのか、リビングの延長とするのか……。
扉の開き方で印象ばかりか用途までガラリと変わるのは、驚きのひと言です。

「自分たちのライフスタイルにどんなタイプが合うのかわからない」という人でも、ショールームで体感するうちに「こんな空間がいいな」と具体的なイメージがきっと湧いてくるはずです。

快適な戸外空間をつくるには「床・屋根・フェンス」が基本

ショールームを案内してくれた、エクステリア事業部の田中さん。

 アウトドア空間をフルに活用するためのエクステリアは、ガーデンルームだけではありません。ショールームには、見るからに心地良さそうなテラス空間が提案されていました。田中さんによれば、このポイントは屋根とフェンスにあると言います。

「家を新築するときテラスをつくる方は多いのですが、実際、住んでみたら、夏は暑くて出られなかったり、お隣の家から丸見えでくつろげなかったり。そうした不満を解決するのが、日除けの屋根と目隠し用のフェンスなんです。

 つまり、外であっても床・屋根・フェンスの3つが揃ってこそ、快適な空間が生まれるのです。我々は“空間に価値を持たせる”と言っているのですが、価値ある空間をつくるのもエクステリアの役割なんですね」

テラスに使われているのは“プラスG”シリーズ。フレームの色は8種類あり、こちらにはチェリーウッドをチョイス。UVカット効果のある “Gルーフ”と、光を採り込み視線を遮る“Gスクリーン”の組み合わせで快適な空間が生み出されています。

 テラスを屋根とフェンスで囲う場合、材質やデザインがポイントになります。ショールームに展示されていたテラスでは、屋根に透明の「ポリカーボネート」が使われていました。紫外線をカットしながら、流れる雲や星空を楽しめる素材です。

 一方フェンスは、視線をさえぎりたい位置にだけ半透明のクリアマットパネルを入れ、目隠しをしながら光を取り込めるよう工夫されています。
この空間なら、パジャマ姿で朝のコーヒーを飲むなんてことも気兼ねなくできそうです。

 庭とテラスのエクステリアをぐるっと巡ったところで、「こんな商品もあるんですよ」と田中さんが案内してくれたのが、2階の展示フロア。床・屋根・パネル壁で囲われた小部屋はガーデンルームに似ていますが、こちらは洗濯物を干すためのサンルームなのだとか。

“サニージュ”は洗濯物を干すストレスを軽減。明るさと遮熱を両立させた屋根パネルなど物干し場として工夫が随所に凝らされています。もちろん、子どもやペットの遊び場などプラスαのスペースとしての活用も可能。広い庭がなくても取り付けられる点も嬉しいポイントです。

「家事の中でも負担が大きいのが洗濯物。特に干す作業は天気に左右されるので厄介ですよね。しかしサンルームを取り付ければ、雨の日でも気兼ねなく干せて、急な雨に慌てて取り込んだり、雨にあたって洗い直ししたりというストレスから解放されます。

 風に飛ばされる心配もなく、花粉症対策もできて、さらに防犯面でも安心。最近は室内干しをするご家庭も増えていますが、この物干しスペースがあれば部屋に湿気や生乾きのにおいがこもらず、洗濯物が動線の邪魔になることもなくなります」

 そんな設備の中で、特に感心したのは開口の工夫。2つの縦型のすべり出し窓や採風ドア、ガラスルーバーによって効率よく風が巡って、洗濯物が乾きやすくなるのです。しかも、これらの開口は風しか通さないので、開けっ放しでも外出可能。日中は家にいない共働き世帯も大助かりですよね。

 庭やテラスはただあるだけでなく、使いやすい工夫がされていることがとても大切。エクステリアを見直せば、快適なアウトドア空間が生まれるばかりか、毎日の家事も楽しくなりそうです。

案内役

田中政幸さん

LIXIL エクステリア事業部 販売企画室所属。エクステリアに携わって25年というエキスパートだ。

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