庭カフェ入門(第4回)

自分だけの空間と時間でリモート時代も快適!

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静かに楽しむのが時代の要請?

左:バーベキューをするにしても少人数で静かに行うのが新常識。煙が出にくい米国製のコンロを使用してご近所に配慮している方も少なくない(写真◎平野晋子)。右:お茶を楽しんだり、読書をしたり、ハンモックで昼寝など「静」の楽しみが主流になりつつある(写真◎三星雅人)。

 コロナ禍にあって、リモートワークが普及しています。その結果、男性も家にいる時間が相対的に長くなり、庭カフェがあれば、家族そろって、または一人の時間を過ごす機会が増えるのではないでしょうか。

 ただ男性の場合、「ウッドデッキをカフェに」というよりは、バーベキューをしたくなるというイメージがあります。家と家の間隔がある郊外の一軒家なら別ですが、密集した住宅街では、煙やにおいでご近所迷惑になりかねません。アルコールが入ると話し声も大きくなり、今どきは参加人数が多くなるパーティー型のバーベキューは、密を避けるという社会的なルールに反します。

「バーベキューを楽しむにしても、炭ではなくカセットコンロを利用したり、炭を使う場合でも、煙が出にくいロースターを使用したりと、ちょっと窮屈になっていますね。パーティー指向の方も、静かに食事やお茶を楽しんだり、読書をしたり、ハンモックを吊るして昼寝を楽しんだりしているようです。夏場ならお子様やお孫さんのプール遊びスペースにされていますね」

メンテ不要だが掃除は必要

ペットとともに庭カフェで過ごす。これも素敵な時間になりそう(写真◎パシフィックW&S)。

ウッドデッキにジャグジーを設置した一例。カフェの範疇を超えるが、自宅でのんびりリラックスした時間をすごせそう。

「人工木やハードウッドのデッキは、特にメンテナンスは必要ありません。汚れが付いた時にデッキブラシで水洗いをすれば大丈夫です。ただし、天然木のデッキは高圧洗浄機の利用はおすすめできません。汚れは落とせますが、ささくれができるなど木材を傷めてしまいがち。スギ材のデッキは塗装を施しますが、高圧洗浄機をかけると水圧で塗装がはがれることもあります」

 ウッドデッキの利用は、飲食や読書などの空間としてばかりではありません。ペットとともに過ごしたり、ジャグジーを設置して「露天風呂」感覚で楽しんだりすることもできますし、見晴らしのよいローケーションを生かせば展望スペースにもなります。

 夏場は暑くて外に出る気もしないと思われるかもしれませんが、日よけや天候に合わせて出し入れできる屋根を設置すれば心地いいですし、室内のエアコンの効きもよくなります。
 プライバシーが気になるなら、開放感を損なわない目隠しもできるので、これもプロに相談するといいでしょう。
 また、ウッドデッキがあると、その部分は雑草が生えないので、庭の草取りの手間がはぶけるというメリットもあります。

気になったウッドデッキは特徴をメモ

見晴らしのいい家なら、ウッドデッキが展望台にもなる。新築やリフォーム時だけでなく、後付けもできる。

 自分なりの理想の空間をつくるにはどうしたいいでしょうか。
 工務店や建築士に「こうしたい」と伝えるにしても、具体的なほうがいいに越したことはありません。

「気になったウッドデッキを見つけたら特徴をメモしておきましょう。持ち主に断りを入れて写真を撮らせてもらうのもいいと思います」

 志水さんによると、「いま、うちにもウッドデッキを入れようと計画中でして……」などと話しかけたら、意外と親切に答えてくれるとこともあるそうです。
 同好の先輩からのアドバイスはきっと役に立つはずです。

 自宅の広さや予算のこともありますから、理想のウッドデッキを求めるといっても、誰しもがジャグジー付きをつくることはできないかもしれません。
 しかし、「ちょっとした洗い物や掃除に必要な水道を引いておくといい」「排水の位置には要注意」など、使った人でないと気が付かないノウハウはたくさんあります。

「ネットで調べるのもいいですが、とにかく実物をたくさん見ること。住宅に設置できる大きさ、広さはもちろん、デッキの風合いや感触も確かめましょう。ショールームや住宅展示場巡りなどもおすすめです」

自然と隣り合わせのウッドデッキ。庭カフェの実物を目の当たりすると、やりくりして予算を立てたくなるかも。

 半坪の超狭小ウッドデッキをつくったこともあるという志水さんは、こう言います。

「広さではありません。豪華さでもありません。ベランダでも、小さな庭でもお気に入りのカフェはつくれます。その空間でどう楽しむかは本人次第ですが、ウッドデッキがあるとないのでは大きな違いがあると思います」

「お試し庭カフェ」からスタートして、屋外での気分転換に慣れ親しんだら、次のステップとしてウッドデッキを検討してみてはいかがでしょうか。

お話を伺たった方

志水洋太郎さん

しみずようたろう。パシフィックW&S株式会社代表取締役。
1947年、長野県・木曽の製材所に生まれ、木材に囲まれて育つ。大学卒業後、木材商社に就職し、国内はもとより、カナダ、南米、東南アジアなど海外で買い付けの経験を積む。30年前に独立、豊富な木材の知識を生かして一戸建てから集合住宅のベランダ向けウッドデッキの製造販売を行う。
http://www.pacific-wands.net/company/

文◎三星雅人
写真◎平野晋子、三星雅人、パシフィックW&S

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