耐久性の人工木、風合いの天然木
ウッドデッキの木材を保管しているパシフィックW&Sの資材倉庫。製材所に生まれ、木材商社を経て独立した「木」のプロが厳選した木材をそろえている。(写真◎平野晋子)
街中の洒落たウッドデッキのカフェで食事をされたことがある方も多いでしょう。
ウッドといっても、多くは人工木のデッキではないでしょうか。雨にも強く耐久性があり、白アリに食われる心配もなく、見た目も天然木のようです。
もちろん、こうした人工木のデッキは住宅にも使うこともできます。
「耐久性という点では人工木、風合いを求めるなら天然木のデッキでしょう。最近の天然木はガラス塗装を施すことで、耐久性は大幅に向上しています。とりわけ木目も美しく高級感があり、なおかつ丈夫な『イペ』という木材は天然木の中で最も高価ですが、実は坪単価は人工木と同じくらいです。横浜の大桟橋やアクアラインの海ほたるのウッドデッキもこの木材が使われていますから、その丈夫さは折り紙付きです」
ウッドデッキに特化した工務店パシフィックW&Sの志水洋太郎さんはこう解説します。
ブラジル産のイペ、イタウバをはじめ、東南アジア産のウリン、セラガンバツなどがハードウッドと呼ばれ、ウッドデッキに向いています。公共施設やホテルなどでよく見かけるのがセランガンバツで、リーズナブルな値段でありながら、耐久性と見た目の美しさを併せ持ち、人気があります。
「ハードウッドは塗装しなくても雨ざらしで15年はもちますが、どんな木でも最終的には銀白化していきます。天然木の風合いは最大の魅力ですが、材質によってはささくれも出ますし、加工が面倒なので職人の技が必要です」
こう聞くとなんだかハードルが高いと感じてしまうかもしれませんが、専門家に相談さえすれば適切なアドバイスが得られます。
お近くにウッドデッキが得意な工務店があれば、直接問い合わせればいいでしょう。
当てがなければ、設計事務所で相談にのってくれます。新築やリフォームを依頼した工務店でも構いません。
木材の特殊塗装や加工もパシフィックW&Sが一貫して行っている。(写真◎平野晋子)
ただし、必ずしもウッドデッキのノウハウがあるわけではない点には注意が必要。
まったく経験のない大工さんに施工され、「思うような仕上がりにならなかった」というトラブルもあるようです。
「私どもの依頼主として多いのが設計事務所です。施主様の希望を設計士がプランを立て、私どもと広さや予算と相談しながら木材を選び、見積もりを出して進めていきます。イペや人工木で坪当たり20万円。木材によって1割ずつ安くなるというイメージです」
平均的な広さは3坪(6畳)くらいといいますから、それなりの予算が必要です。安くはないので、新築の場合、より優先順位が高くなりがちなキッチンまわりの予算を厚くされ、ウッドデッキは「またの機会に」と却下されることも少なくありません。
ところが、ひとたびウッドデッキをつくったお宅では、ご主人よりも奥様のほうが愛着を感じているのだとか。
たとえ狭くても自然との接点になるこの空間が、ゆったりとした時間をつくってくれる。
「ウッドデッキが寿命を迎え、つくり直すか撤去するかを迫れるとき、ほとんどのお客様はもう一度つくり直されます。そして、その時積極的に『もう一度ウッドデッキを』と推すのは奥様のほうなんです」
ウッドデッキを存分に使い、そのメリットを実感しているのは、奥様のほうなのかもしれませんね。
次回は、そんなウッドデッキの活用法やメンテナンス法をご紹介します。
(第4回に続く)
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