ウッドデッキの主役は奥様?
「ウッドデッキをつくりたいが、どうしたらいいかという問い合わせが、今年(2020年)の春からとても増えました。当たり前の日常にちょっとだけ非日常をつくって、贅沢な時間を楽しみたいという方が増えたのかもしれません」
こう語るのは、ウッドデッキに特化した工務店「パシフィックW&S」代表取締役の志水洋太郎さんです。
ウッドデッキといえば、男性が新築やリフォームの際に「ぜひつくってみたい」と家族に提案しては却下されやすい、贅沢な空間というイメージもあります。
しかし、あとあと「つくってよかった」と思うのは、案外、消極的だった奥様だったりするのかもしれません。
「ウッドデッキの使われ方として多いのが飲食用です。バーベキューをイメージする方も多いでしょうが、実際は、奥様が外の空気を吸いながら、静かにティータイムを過ごされている場合も多いのです」
コロナ禍の中、ウッドデッキの問い合わせが増えたというパシフィックW&Sの志水洋太郎さん。(写真◎平野晋子)
「本格的なウッドデッキをいますぐ計画するのは理想」という方も、家にいながら庭カフェ空間でリラックスするのなら、100円ショップのウッドパネル(30×30cm)をベランダに敷けばOK。
これだけでベランダが「お試しオープンカフェ」に早変わりするのです。
「庭カフェの快適さ、気持ちよさを感じていただくなら、仕上がりの良しあしはどうあれ、まずこの空間で、室外の空気にふれることを体験されるといいと思います」
ウッドパネルは100円ショップのほか、ホームセンターでも500円以下で手に入れることができます。
なんちゃってベランダカフェをつくってみた
それでは、一戸建ての幅約60cm、長さ約135cm(1間半)の狭小ベランダでカフェ空間がつくれるか試作してみることにしました。
志水さんのアドバイスは2点。1つは、隣家が近く人目が気になるようなら目隠しをすること。もう1つは、サイズを確認して隙間なくウッドパネルを敷きつめることです。難しいことはまったくありません。
物干しくらいにしか使えそうもないベランダが、オープンエアのもう一つの部屋のようなりました。
目隠しに利用した菜園用の遮光ネットは、内側からは外がよく見えるので閉塞感がなく、いつものコーヒーも少し上等な味に感じました。これが日常の中の非日常なのだと感じることができました。
マンションには
「本格カフェ」がおすすめ
このウッドパネルは、設置も簡単なら撤収も速やかにでき、使いたいときだけベランダに敷くことができるのも、お試しという点でおすすめです。
志水さんは、マンションのベランダなら、ウッドパネルを常時設置するのも良いと言います。
「マンションのベランダはコンクリートですが、夏場は熱がこもり冬場は冷え込みます。ここにウッドパネルを敷くことで、気温の問題はかなり改善されます」
マンションの場合、上階のベランダのおかげで雨にあたりにくく、ウッドパネルがより長持ちします。
ただ、長持ちすることはいいのですが、定期的な修繕時に撤去を求められる可能性があります。
もし、大規模修繕が近づいてきているようなら、常時設置するのは修繕後にして、それまでは、都度ウッドパネルを設置・撤収する「簡易ベランダカフェ」にとどめておくという選択肢もあります。
ラグを敷いて裸足でくつろぐ
一戸建てでよく見られるのはアルミのベランダですが、熱がこもりやすく、冷え込みやすい点はコンクリートのベランダと同様です。ウッドパネルを敷くことは、雰囲気づくりということだけではなく、快適性向上というメリットもあるのです。
また、パネルを敷くことで足の裏の感触もかなりソフトになります。ラグを敷けば、ベランダサンダルを脱いで過ごすことも可能。裸足のベランダも気持ちがいいものです。
上の写真では、イスの代わりに、室内用のDIYでよく使われる発泡スチロールのソフトブロックを使ってみました。
座り心地はソフトで意外なほど快適。また、ブロックを置かずに足を伸ばせば、リビングでごろっとくつろぐ感覚をオープンエアで楽しめます。
100円ショップのアイテムでつくった「なんちゃってウッドデッキ」。ぜひ一度、試してみてはいかがでしょう。
もしも「うちは平屋でベランダがない」「庭も広くはない」ということであれば、玄関先に「お試しオープンカフェ」をつくることもできます。
次回は、ご近所の目を気にせずつくれる気持ちのいい「玄関先カフェ」のアイデアをご紹介します。
(第2回に続く)
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