ミセス中村の「美ハウス道場」潜入レポート[後編]

挫折しない整理整頓の秘訣は、「玄関」をキレイにすることから

空間
玄関まわり
関心
お手入れ整理収納時短

今回は自称「片付けられない主婦代表」の島根しじみさん(仮名)に、中村美香さんが主宰する美的ハウスキーピングサロンの第1回「玄関の掃除と整理収納」にチャレンジしていただきました。果たして、その結果は!?

掃除にもベストな順番と時間があった!

「キレイに片づいた家を目指すためには、まず、どこから手を付ければ良いのでしょうか?」という島根しじみさんの質問に「整理収納には順序があります」と中村さん。

整理収納はしまうものが決まっている玄関まわりから始めるのがベスト。

 まずは「玄関まわり」や「クローゼット」など、収納するものが決まっている場所(用途の明確な収納スペース)から始めるのがベストだそうです。

 中村さんの美的ハウスキーピングサロン(通称、道場)のレッスン第1回で、玄関の掃除と整理収納を学ぶのは、収納するものが靴や傘など、外で使用するものに限られ、下駄箱の収納用途が明確であるためです。

 このように限られたスペースなら、2~3時間集中すれば片づけられます。それに、1つ成功すれば、やり遂げた満足感も味わえます。

 掃除をするなら、天気の良い午前中がベスト!
「風水の考え方に、午前中は金、午後は銀、夜は鉛という言葉があります。午前中は金、つまり陽の気が満ちているため、最も掃除に適しているのです。朝の気持ちよい空気と、下駄箱の滞った空気を入れ替えるイメージで掃除を始めましょう」(中村さん)

下駄箱の掃除は上から下へ

いきなり濡れた雑巾で拭かない。まずは乾いた布やほうきで汚れを掃き出すことから始めるといいそうです。

小物入れには必要最小限にとどめ、ストックは別の場所へ。

 まずは、下駄箱の中のモノをすべて出して下駄箱を空にする「全出し」からスタートです。靴を購入した時の箱や、履かない靴は処分します。靴は人別、用途別に分けて日光にあてておきましょう。

 次に、下駄箱の中を1段、1段、掃除します。いきなり濡れた雑巾で拭くと、下駄箱の中の砂や土が湿って取れにくくなり、雑巾もすぐに汚れてしまいます。
まずは、乾いた布やほうきで中の汚れを掃きだすところからはじめてください。

 また、下駄箱の上や玄関の内側の扉など、比較的キレイな場所からスタートして、下駄箱の棚、最後にタタキという順序で拭き上げれば、何度も雑巾を洗う手間が省けます。

 次に行うのが、玄関や下駄箱にある小物の整理です。下駄箱に防水スプレーが何本も入っていることがありますが、限られたスペースに何本も収納するのは問題です。下駄箱には「今、使う1本」を選び、残りはストックとして別の場所で保管してください。

靴箱は背の高い人順に上から収納

靴は背の高い人が上、小さな子どもは下に置くのが合理的。

 収納は基本的に「人別」で納めます。
 一般的な下駄箱は、女性用のパンプスなら4足、男性用のビジネスシューズなら3足が横に並べられるように設計されています。靴を詰め込む窮屈な収納ではなく、空気が流れるスペースを確保しましょう。

 適正量を守れば、出し入れしやすく、結果として、靴を出しっぱなしにすることもなくなります。

 中村さんによると、棚板の高さを節約する工夫は次の3つ。
 1.防水スプレーや虫よけスプレーなど高さのあるものは倒して収納する。
 2.女性のパンプスはかかとを奥、男性用のビジネスシューズはかかとを手前に向ける。
 3.長靴やブーツなど高さのある靴は、人別ではなく形や種類でまとめるのもOK。

 こうした工夫で棚板の高さをセーブでき、もう1枚増やすことができます。

「女性が必要とする履物は、冠婚葬祭にオールマイティに使える黒のパンプス1足はマストです。これに、肌と同じ色のベージュのパンプスが加われば、ほとんどの服に対応できますよ」と、中村さんは言います。

 傘も同じように、雨用とUVカットの日傘を兼用にするなど、日頃から使い回しを考えて選ぶ習慣をつけておくと、数ばかり増えることは避けられます。

小物の収納は高さを抑える工夫を。その分、靴の出し入れがスムーズになる。

似たような靴はいくつもいらないので、オールマイティに使えるお気に入りの1足だけを選び、あとは処分! と中村さん。島根さんは、「モノの多さが片づけにくさにつながっていることはわかっていても、私にとっての必要最小限にしていくことは勇気がいることだと思いました」

玄関掃除を実践!
「私でもできる」を実感しました

 こうして体験入会は無事、終了。
 島根さんは「玄関の掃除や片づけは、どこから手をつけていいのかわからなかったけれど、こうして順を追って教えていただくと、自分でもできるような気がします。まずは、家に帰って、玄関から片づけてみます。子どもたちを学校に送り出したら、朝のうちに“気”を十分に取り入れてみたいと思います」と意気込んでいました。

 後日、島根家が「美ハウス」になったのか聞いてみました。すると、こんな答えが……。

「さっそく、うちで玄関の整理と掃除をしてみました! 自分で考えながら片づけていくと、中村さんの言う『何を捨てるかではなく、何を残すのか』の真意がわかったような気がします。それに、靴の向き一つで取り出しやすさも変わり、ずっと機能的になりました。

中村さんの的確なアドバイスに「家を美しく保つコツがわかった」と、島根さんもご満悦。

 まだまだ中村先生のようにはいきませんが、家族を説得して、モノが少ない家を目指していきます。それに、今回はレッスンの第1回を受けただけなので、ぜひ全10回受講して、『ミセス中村メソッド』をわがものにしたいですね」

 島根さんは帰宅するなり玄関の整理と掃除にチャレンジして、自分が変わりはじめていることを感じているようですね。

 美しく整った玄関は、良い「気」を招きます。お天気の良い午前中、ほんの数時間を使って、玄関を整えるところからはじめてみませんか?

お話を伺った方

中村美香さん

整理収納アドバイザーとして、収納に関する著書多数。ブログ「美しい暮らしのエッセンス」では、すぐに役立つ収納やハウスキーピングの情報を発信中。

島根しじみさん(仮名)

料理が大の得意で、写真やイラストとともにブログにアップするのが趣味。唯一苦手なのが片づけで、「自宅で料理教室を開けること」を目標に、中村さんの美的ハウスキーピングサロンに体験入会していただいた。

文◎山田章子 撮影◎末松正義 イラスト◎島根しじみ

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)