ミセス中村の「美ハウス道場」潜入レポート[前編]

「美しい収納」なら、「何が、どこに、いくつあるか」を常に把握できる!

空間
玄関まわり
関心
お手入れ整理収納時短

「片づけ方には『技術』がある」。こう断言するのは、美的ハウスキーピングサロン(道場)を主宰する中村美香さんです。中村さんの片づけメソッドは、以前「片づけられないのには理由(わけ)がある」でもご紹介しましたが、今回は「自他ともに認める片づけ下手」という50代の主婦・島根しじみ(仮名)さんに、サロンに体験入会していただきました。
果たして、片づけ下手は治るのでしょうか?

まずは自分のタイプを把握する!

「片づけられないのには理由(わけ)がある」でご紹介した通り、中村さんは片づけ下手を次の5タイプに分けています。

 1.世話焼きタイプ……子どもや夫に手がかかりすぎて部屋の片づけが疎かに。
 2.苦手意識タイプ……「そもそも自分は掃除が苦手」と、開き直っている。
 3.怠け者タイプ……単に動くのがイヤで、自分に甘い。
 4.物欲タイプ……あれもこれも購入して収納があふれてしまう。
 5.逃避タイプ……「子どもがいるから」「ペットが汚すから」など言い訳する。

最初にアンケートをチェックして、なぜ片づけが苦手なのかを中村さんが診断してくれる。

「まずは自分がどのタイプなのか把握すること」と、中村さん。主宰する“道場”こと、「美的ハウスキーピングサロン」では、受講生には入会時にアンケートに記入してもらい、タイプ診断をしています。

 今回体験入会した島根さんも、さっそくアンケートに回答。すると「セールが好き」「大型店で大量に買う」という項目にチェックが入り、「物欲タイプ」の特徴が顕著に表れました。

 島根さんは恐縮しながら、こう話します。
「実際、トイレットペーパーは箱買いしていますし、こだわりの調理器具や日用品のストックも多く、収納スペースは常にいっぱいです。時には、買ってきたものが収まらないこともあるくらいで……」

 そもそもなぜ、それほどたくさんのモノを買い占めてしまうのでしょうか?

「片づけられている」とは、必要なものが、どこにいくつあるのかを把握できていて、取り出しやすい状態にあることだと、中村さんは話します。

「料理にアート、写真など、趣味が多いせいかもしれません。家が片づいたら、料理教室やワークショップを自宅で開くのが夢なのですが……」(島根さん)

 そんな島根さんに、さっそく中村さんがアドバイス。

「安いからといって収納スペースを顧みずに買ってしまうのは間違いです。物欲タイプの方は、ぜひ“美しい収納”を目指してください。いくら広い収納でも、モノがぎっしり詰まっていれば、それは“美しい収納”とは言えません。必要なものが、どこにいくつあるのかを把握できていて、取り出しやすい状態にあって、はじめて“美しい収納”と言えます」

 つまり、美しい収納とは、「片づけられている状態にある収納」というわけですね。

捨てるモノではなく必要なモノを選ぶ!

 では、どうすれば収納を美しくキープできるのでしょうか。
 ハウスキーピングは風水と共通点があるという中村さんは、「部屋も収納スペースも、空間が十分になければ風が通りません。風(空気)を通すことで『気』が流れ、身体にも見た目にも心地よい空間が生まれる」と言います。

「島根さんは将来的に料理教室やワークショップをしたいという計画があるので、調理器具が多少増えてしまうのは仕方がありません。そのぶん、日用品のストックを、多くても1つまでにするとか、別の分野でモノを減らすようにしていきましょう」(中村さん)

 このアドバイスには島根さんも、「キッチングッズを整理しろとは言われなくてよかった(笑)」と、ひと安心の様子です。

「中村先生の整理収納に対する信念と、モノへの愛情や潔さにびっくり! いくら収納スペースが広くても、今の調子で増やしていったら、モノがあふれだしてしまいます。そんな単純なことも気づかなかったワタシです」(島根さん)

 とはいえ、すでに家じゅうの収納を埋めているモノを減らしていくのは、簡単ではありません。

「なかなか捨てられない方は、『捨てるものを選ぼう』と思っているから選べないのです。使いたいもの、大切なものを選んでいけば、必然的に不要なものは見えてきますよ」と、中村さんは言います。

 厳選したお気に入りを1つだけ残して大事に使う。
 これだけのことで、モノに対する愛着心は何倍にも増し、収納スペースはスッキリ片づきます。おまけに、お手入れや片づけの手間も省け、まさに「一石三鳥」と言えるでしょう。

「整理収納は技術です。島根さんは物欲タイプと診断されましたが、どのタイプであれ、技術を学べば身につきます。片づけを阻んでいる考え方に刺激を与え、整理整頓のために活発に頭を働かせるようにするのが、美的ハウスキーピング講座の狙いであり、目的です」(中村さん)

家をすっかり整理できる6:3:1の法則

 中村さんは受講生に、「家を美しく保つための黄金比」も指導しています。部屋のお手入れで気をまわす割合を示したもので、「整理収納6割、掃除3割、インテリア1割」だそうです。

「ポイントは、掃除がわずか3割ということ。モノに定位置があり、スッキリ収まるように整理収納ができていれば、日々の掃除はわずかな時間と工夫で済ませることができますよ」

「インテリア1割」というのは、「動線に基づいた片づけやすいインテリアの配置の技術で、この1割ができると空間全体をスッキリと見せられる」なんだと言います。

 これら中村さんのメソッドを余すところなく学べるサロン(道場)は、全10回のカリキュラムで構成。レッスンは、「片付かない原因」にはじまり、玄関、キッチン、寝室収納、水まわり収納など、空間別の整理収納術、収納配置計画の立て方など、多岐におよびます。

 最後は総復習を行い、お楽しみの「クリスマス座談会&ワインパーティー」で締めくくり。受講料は土曜日のコースで6万6000円(税込)。平日のコースはミニランチ付きで8万2500円(税込)です。受講を検討している方を対象とした、5000円のミニレッスン講座も用意されているそうです。

 後編では、中村さんのサロンの第1回を体験します。「物欲タイプ」の島根さんに、どんな変化がみられるのでしょうか?

(後編に続く)

お話を伺った方

中村美香さん

整理収納アドバイザーとして、収納に関する著書多数。ブログ「美しい暮らしのエッセンス」では、すぐに役立つ収納やハウスキーピングの情報を発信中。

島根しじみさん(仮名)

料理が大の得意で、写真やイラストとともにブログにアップするのが趣味。唯一苦手なのが片づけで、「自宅で料理教室を開けること」を目標に、中村さんの美的ハウスキーピングサロンに体験入会していただいた。

文◎山田章子 撮影◎末松正義 イラスト◎島根しじみ

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)