クルマを降りてから
濡れずに家に入りたい
雨の日にクルマで買い物に出かけると、家に運び入れる段階で荷物が濡れてしまう……。こうお悩みの方は多いのではないでしょうか。
森村厚建築設計事務所の森村厚さんは、ガレージやカーポートから家の出入口までの動線を見直すことで、クルマ生活がより快適になるといいます。
「まずはクルマから玄関までのアプローチを最優先させるリフォームを考えてみましょう。玄関を道路に面して設置するのではなく、ガレージの中に玄関を設けるという方法です」
このようなリフォームを行えば、雨が降っていても、クルマから玄関までわざわざ傘を広げる必要もありません。
駐車スペースと台所やパントリー直結の出入り口があれば、買い物はぐっと便利に。(写真◎森村建築設計事務所)
ですが、玄関は家の顔なので、やはり道路側に向いていたほうがいいという考えもあります。
「玄関はお客さまのためのものであり、住んでいる者は通用口を使うという考え方が、和風建築にはあります。ガレージから台所に直接つながる場所に通用口(勝手口)を設け、クルマでの買い物をよりラクにしようというリフォームもおすすめです」
いずれにしても、クルマから降りて雨に濡れずに出入りできるのが、このリフォームの一番の目的になります。
カーポートはメーカー製も選択肢の一つ
LIXILのカーポートSCシリーズ。機能はもちろん、シンプルなデザインで見栄えもよい。
建ぺい率の問題から、家とガレージを一体化できないことがあります。リフォームを検討する際にも、敷地の自由度の問題から、こうしたアプローチをつくれないこともあるでしょう。
そのような場合は、「手軽さを考えるとメーカーのカーポートも選択肢の一つ」と森村さんは断言します。ゼロからカーポートを製作する事は建物と同様結構大変です。はじめからすべてが出来上がっておりイメージがつきやすい既製品のカーポートは、強度、見栄え、そしてコスト面でもおすすめなのだそうです。
カーポートの支柱には、片側支持と両側支持があります。見た目は片側支持のほうがすっきりしていますが、注意しなくてはならないのが降雪。実はカーポートの大敵は雪なのです。
雪は見た目以上に重く、積雪1cmで1平方メートルあたり約2kgになります。仮に積雪が30cmの場合、実に1平方メートルあたり約60㎏もの負荷がかかることになるのです。
「業者さんとよく相談して、お住まいの地域に合わせたカーポートを選んでください」
EVや電動自転車は雨に当てたくない
近年、家の電源から充電できる電気自動車(EV)やプラグインハイブリット車(PHEV)などが増えています。
こうしたクルマは、充電時はできることなら雨ざらしにはしたくありません。室内から電源を取るにあたっては、専用のターミナルが必要ですし、EVに太陽光発電を利用して充電したり、自宅の電源を組み合わせるV2H(ビークル・トゥ・ホーム)に必要な機器も、雨に当てたくないものです。
コードを引くなら、室内から引っ張り出すのでなく、門柱やインターフォン一体化の機器(EVファンクション)などとあわせて、見た目をすっきりさせると良いでしょう。
LIXILの自転車用ポート。電動アシスト自転車は雨に当てず盗難を防止するうえでも屋根付きの置き場がほしい。
自転車も、できれば雨に当てたくないものです。いわゆるママチャリは消耗品のような扱いで、雨ざらしにされることも少なくありません。
しかし同じ自転車でも電動アシストタイプになると、お値段のことやバッテリーの充電で取り外すことを考えると、従来のような荒っぽい保管はしたくありません。それに盗難の心配もあります。
もしもガレージやカーポートがない場合は、メーカー製のしっかりした専用ポートを設けるのがおすすめです。
「大きなSUVからコンパクトカーに買い替えるような場合、ガレージの一角に自転車専用のスペースを設置するのもいいでしょう。ガレージのリフォームで、新たに部屋や用具庫をつくることもできます。新たな出入り口を含め、ガレージの増減築も考えてみてはいかがでしょうか」
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