寒い季節の温浴健康生活[第1回]

医師が教えるお風呂の魅力!~健康効果編~

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良いこと尽くめ! 入浴の健康効果

 早坂先生によると、入浴の健康効果は大きく分けて3つあるのだそう。
 それが、体を温める「温熱作用」、体の緊張をほぐす「浮力作用」、体を締め付ける「水圧作用」です。

■効果1 温熱作用

「温熱作用はその名の通り、体を温めるはたらきです。入浴の健康効果として一番知られており、実感しやすいといえるでしょう。体が温まることで、血管が広がり、心臓の働きが高まります。そうすると、体中の血流が促進されるのです」

 血流が良くなると、さまざまなメリットがあるのだと早坂先生は言います。

「血液には、体内を巡り『体にとって大事なものを隅々まで運ぶ役割』と『不要なものを回収する役割』があります。入浴によってこれらの働きが活発になるので、新陳代謝が上がり、体がリフレッシュするのです」

 また、神経系にも良い効果があるそうです。

「体を温めると、神経の過敏性を抑える効果があります。神経痛や慢性的な痛みを和らげてくれますよ」

 この他にも、関節が柔らかくなったり睡眠の質が上がったり、自律神経の調整をしてくれたりと、温熱作用には大きな健康効果があるようです。

■効果2 浮力作用

「お風呂に入ると、お湯の浮力を受けて体が軽くなります。これが浮力作用です。浮力はかなり強く、水中だと体重が10分の1程度にまでなるんですよ。浮力を受けると、当然、体に普段かかっている負担が軽減されます。その結果、体を支えている筋肉や関節などを休ませることができるのです」

 体への負担が減り、リラックス効果が期待できるようですね。

■効果3 水圧作用

「お風呂に入ると、水圧により全身が締め付けられ、血行を良くしてくれる働きがあります。この働きによって、むくみを始めとした血流の滞りから発生する症状を改善できるのです」

 水圧によって体がマッサージされているような状態になるのだそうです。

 忙しいからといって、入浴を「シャワーのみ」で済ませることもあるでしょう。ただ、残念ながらシャワーでは、これら3つの健康効果は得られません。定期的な入浴がおすすめです。

入浴とデトックスは無関係!?

「日本人が長寿なのは、お風呂に入る習慣があるからとも言われています。日常生活で実践できる最も優れた健康法のひとつでしょう」と早坂先生。

 とはいえ、入浴効果として誤った認識が広がっていることには注意が必要です。

「たとえば『入浴にはデトックス効果がある』とよく言われますが、これは誤りなのです」

 何かと注目の「デトックス」ですが、入浴では不可能なのでしょうか?

「『入浴で体を温め、汗をかくことで体内の有毒物質が排出され、デトックス効果につながる』という健康効果はあまり期待できません。人間が有害物質を排出するのは大半が便と尿であり、汗にはそうした働きはほとんどないことがわかっています」

 汗をかくこと自体にデトックス効果があるわけではないのですね。

「汗をかいているというのは、『老廃物が外に出た証拠』ではなく、『体が温まった証拠』なのです。誤った情報を鵜呑みにして、妄信的に入浴すると体は確実に疲労しますし、危険です。ぜひ、正しい知識を知ったうえで入浴してほしいですね」

 ぜひ正しい方法で入浴して、健康になっていきましょう。

 次回は、『健康効果を得るためのお風呂の入り方』に関して、引き続き早坂先生にお話をうかがいます。

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■お話をうかがった方

早坂信哉さん

温泉療法専門医。東京都市大学人間科学部学部長・教授。お風呂や温泉について医学的に研究する第一人者。生活習慣としての入浴の重要性に注目し、20年以上にわたって3万人以上を調査している。明快な解説でメディア出演、講演も多数。主な著書に『最高の入浴法』『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』など。

文◎熨斗秀信
撮影◎平野晋子
写真提供◎Shutterstock

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