お風呂のソムリエ直伝!『バスリビング』

温泉で、頭にタオルをのせているおじさん、 実は正解だった!

空間
浴室
関心
ライフスタイル学ぶ

ドイツでも露天風呂は憩いの場

毎年冬になるとお風呂での「ヒートショック」による事故がニュースになりますが、今年は冬のお風呂での「熱中症」についても注目されるようになりました。湯船につかると血管が拡張し流れがよくなりますが、一方で湯船に浸かっていない肩から上の部分への血液の供給が減ってしまうのです。

脳に血液がいきわたらない、それが「お風呂の熱中症」の正体。

頭がボーっとする症状が熱中症と似ていることから、「お風呂の熱中症」という表現で注意喚起がされるようになりました。それほど疲れていないのにお風呂で眠くなる・・・これも熱中症のサインかもしれません。温泉にいくと、家族や気の合う仲間とおしゃべりしながらつい長風呂をしてしまうこと、ありませんか?冬場の温泉、私も大好きで家族ともよく行くのですが、高齢の両親のことはさりげなく注意しながら見守っています。高齢になると血圧や心臓に気をつけなければなりませんが、口でとやかくいうよりも自分の入り方をみせながら父にも同じような入浴法を促すようにしているのです。

<私の温泉の入り方>

・いきなり露天風呂にいかず、ぬるめの内風呂から徐々に体を慣らす。

・休憩をはさむ。

・露天風呂に入る前に髪の毛は洗わない。

・立ち上がるときは浴槽のふちなどに手をつき、ゆっくり立ち上がる。

・浴槽から上がる前に体をひねったり、足を左右に倒したりなど少し体を動かして血液循環を整える。

【頭にタオルを】

頭にタオルをのせているおじさんのイメージ

温泉にいくとタオルの置き場に困りますよね。湯船につけるのはマナー違反だし、かといってポケットはないし・・・。じゃぁどうすれば?

正解は「頭にタオルをのせているおじさん」。

置き場がなくて置いているだけじゃなくて、実は理にかなっているのです。立ちくらみは、頭の血流量が減っておこるため、タオルで保温してあたためることで、頭の血管を開くことができるのです。すると浸かっている部位とのバランスがよくなるのですね。露天風呂では濡れたタオルは冷たくなってしまうので、乾いた状態で帽子のようにくるんでおくのがよいです。しかし、基本は「頭寒足熱」。長湯は禁物。のぼせちゃいますから。あまりの心地よさと解放感にずっと浸かっていたい気持ちもありますが、頃合いを見て内風呂に戻りましょう。

【私の好きな露天風呂巡り】

城崎温泉 山本屋

城崎温泉といえば、『七湯めぐり』 。

本来一日に何回も温泉に入るのは体への負担が大きくてオススメ出来ないですが、城崎の湯は非常に優しいお湯で湯巡りが心地よく楽しめます。地ビールを飲んだり。城崎と言えばカニを食べたり。食の楽しみも豊富な城崎。実は宿泊させていただいた山本屋さんのご主人は城崎温泉の観光協会の理事さん。昔は東京からのお客様を増やそうとされていたそうですが、今では「浴衣の似合う街」としてPRしたところ外国からのお客様が増加したのだそうです。風情あふれる街並みは浴衣姿の観光客で完成される。優しいお風呂、美味しいご飯や地ビールのおもてなし。城崎では宿での内湯を増やさず湯巡りを楽しんでいただく街全体で取り組みをされているとのことで感動しました。ちなみに冬場の七湯めぐりのポイントは、宿から一番遠い場所から巡ること。寒いですから、最後はホカホカになって宿に辿りつくというコースがよいのです。

城崎温泉の街並み

お風呂での事故は自分の注意次第である程度避けることができます。家族や仲間との温泉旅行、最初から最後まで楽しい思い出となってほしいと思います。

お風呂のソムリエ直伝!『バスリビング』

松永 武さん

お風呂のソムリエ。温泉入浴指導員。バスリエ株式会社 代表取締役。一般社団法人HOT JAPAN 代表理事。2005年お風呂グッズの専門店開業。お風呂は洗う「場」ではなく「暮らす」空間として提唱しお風呂を通じて暮らしを豊かにするため「全人類!お風呂のソムリエ化計画」を遂行中。

また日本の風呂文化普及のため2015年一般社団法人HOT JAPAN設立。現在、日本独自の文化と言える「風呂」のユネスコ世界無形文化遺産登録を目指し活動中。

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)