お風呂のソムリエ直伝!『バスリビング』

お気に入りのタオルと長くつき合う方法

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今回は、私たちの暮らしに欠かせないタオルについてお話ししたいと思います。

タオルは、日々の使い方によって、寿命が大きく変わるのをご存知ですか?お気に入りのタオルと出会えたのなら、タオル本来のふわふわな肌触りを長く保たせたいものですよね。そこで、「タオルの選び方」と「タオル本来のふわふわな肌触りや美しさを長く保つ方法」をご紹介します。

先ず「タオルの選び方」です。

「丈夫で長持ち=最高のタオル」ではありません。使う人との相性が合ってこそ、いいタオルといえます。タオルは多種多様で、人と同じようにそれぞれに個性があります。お風呂でリラックスした時間を過ごしたら、お気に入りのタオルで気持ち良く体を包み込んだら最高ですよね。

■お風呂のソムリエがお勧めする、タオル選びの3つのポイント

左:ループパイル 右:カットパイル

1.肌触り

ふんわり・しっかり・薄手・厚手など、実際に触ってみて好みのものを選びましょう。見た目だけでは、自分好みの肌触りが分からないため、触って確かめるのが重要です。

2.吸水・速乾

吸水性が高く、速乾なものを選びましょう。吸水性が高いものは水分のふき取り能力が高く、速乾なものは、生乾きによる雑菌の繁殖を防ぎやすいです。

3.耐久性

耐久性があるものは、購入時の肌触りを持続しやすいです。ここで言う耐久性は購入時の「風合い」のことです。一般的には「糸が太い」「目が細かい」「毛羽が立ちにくい」タオルが耐久性に優れていると考えられます。

肌触りや吸水・速乾性、耐久性は、タオル生地の織り方や素材によっても変わってきます。

【織り方】

◎ループパイル

糸をループ状に織った生地で、吸水性に優れています。一般的なタオルはこの生地をつかったものが多いです。 ループの長さやループを立たせたり寝かせたりすることで、柔らかさや肌触りが違ってきます。

◎カットパイル

ループの先端をカットし毛足を均一にしものを『シャーリング』といい、比較的毛足が短く、光沢のある色合いと滑らかな肌触りが特徴です。ループの先端をカットし毛足が不均等のものを『シャギー』といい、比較的毛足が長く、ふわふわな肌触りが特徴です。パイルと比べた場合、カットした分若干吸水性に劣りますが、繊維がループ状でない為ひっかかりにくく傷みにくいです。

左:ガーゼ 右:ワッフル

◎ガーゼ

肌触り、吸収性、速乾性、収納しやすい厚さ、伸縮性、といった特徴があるので、赤ちゃんがいるご家庭にはもってこいの生地です。

◎ワッフル

肌触りはさらさら、吸水・速乾性も良く、毛羽や糸ほつれが少ないのが特徴。凹凸がある分、肌に触れる面積が少なく、サラリとした肌触りが気持ちのいい織り方です。

左:織り模様 右:無撚糸

◎織り模様

タテ糸とヨコ糸を組み合わせながらパイルを作っていくジャガード織りやシャーリングとパイルの組み合わせなどで柄をつくります。プリントと違い、複数の糸を使用しデザインをはっきりくっきりさせたり、パイルの高さを変えて凹凸を演出したりしているのが特徴です

◎無撚糸

繊維をねじる(撚る)ことをしないので、ふんわりとやさしい肌触り。吸水性と保湿にも優れています。 ねじった綿糸よりも洗濯時の毛羽が多めになりますが、そのデメリットを解消したタオルも登場しています。

【素材】

◎綿

「やさしい、ふんわり、柔らかい、包まれたい・・・」タオルに求めるものすべてが綿にあります。綿の種類は膨大で世界中で生産されていて、それぞれ特性が違いますので、お好みの綿を探してみてはいかがでしょうか。

◎リネン(麻)

耐久性は抜群で、吸水・速乾性にも優れています。コットンとの差は歴然。その上、毛羽落ちが少なく生地がやせにくいリネンは洗濯ものの優等生。洗濯するとシワになりやすいですが、干すときにピンっと伸ばすと自重でシワを軽減できます。

◎化学繊維

(ポリエステル、アクリル、マイクロファイバー、ナイロン)

天然素材よりも圧倒的に吸水・速乾性に優れています。マイクロファイバー製のタオルで肌をゴシゴシこすると肌を傷めるので、注意しましょう。もっともゴシゴシする前に水分を吸収してくれるので、その必要もないのです。洗濯をサッと済ませたい人には、マイクロファイバーがおすすめですね。とことん悩んで「気の合うタオル」に出会う楽しさを味わってみてください。

■タオル本来のふわふわな肌触りや美しさを長く保つ方法

次に『洗濯の方法』『洗剤の使い方』『お手入れ・保管方法』をご紹介します。ポイントはそれぞれ3つです。

~洗濯の方法~

1.「手洗い」もしくは「洗濯機の手洗いコース」がおすすめ

ふわふわな肌触りを持続させるためにも、繊細なタオル繊維の洗濯には手洗いが一番です。 洗濯機を使用する際は洗濯ネットに入れ、手洗いコースを選んでたっぷりの水量で洗うとタオルを傷めにくいです。

※タオルの使い始めは、毛羽落ちや色落ちすることがあるため、他の衣類と一緒に洗わないようにしましょう。特に、バスローブには毛羽がくっつきやすいため注意が必要です。

2.洗濯後は長い時間放置しない

脱水によりパイルが圧縮されつぶされた状態になります。洗濯後そのまま時間放置すると、つぶれたパイルがもとにもどりにくくなり、柔らかさを損なう原因となります。洗濯後は手早く広げて、タオルの長い辺を持ちパイルを立たせるように振ってから乾燥させてください。

※振る回数の目安は20回です。 がんばりましょう。

※短い辺をもって振ると繊維が偏りますので避けてください。

3.干す場所は、「風通しの良い日陰」

長時間の直射日光は繊維を固くする原因になりますので、風通しの良い日陰で干すようにしましょう。風通しが悪い場所だと乾きが悪く、雑菌が繁殖する原因となりますので、「風通しの良い日陰」であることが重要です。梅雨時など乾燥しにくいときは、タオルを干すときに片方を長くしたり、部屋干しの場合は扇風機で風を当てると早く乾きます。周囲のものにタオルが引っかかると、タオルが傷つく原因になりますので、干す場所にも注意しましょう。

~洗剤の使い方~

1.洗剤は指定の分量で

汚れに合わせて使用する洗剤の量を調節しても構いませんが、指定の分量の範囲内としてください。入れすぎると、洗濯漕の裏側にたまり雑菌やカビのエサになったり、すすぎ残りが汚れを残すことにもなります。タオルから雑巾のような臭いがするのは、これらが原因となることがあります。

2.漂白剤に注意!!

脱色や色移りを防ぐためにも、タオルや一緒に洗う洋服のタグの表記を確認して、漂白剤を使用するようにしましょう。

3.柔軟剤を使用すると吸水力が低下

柔軟剤は油剤の為、吸収性を損なってしまうことがあります。また、柔軟剤は繊維をすべりやすくするため、パイルが抜けやすくなる原因にもなります。新しいタオルは柔らかいので、柔軟剤を使わなくても充分です。

~お手入れ・保管について~

1.タオルを箱に入れたままにしない

ギフトでいただいたタオルは箱に入れたまま放置しがちです。そのままにせず、一度洗い、よく乾かしてから高温多湿避けて保管しましょう。保管するときは、折り目がつかないよう、丸めて保管してください。

箱に入れたまま長時間放置すると、折り目や表示シール部の繊維が弱くなってタオルが劣化してしまいます。劣化の症状としては、変色退色して表と裏で色が異なってしまう、表示シールの糊やテープが変色するなどがあります。

2.パイルが飛び出したら、こまめに切る

飛び出したパイルを放置するのはNGです。洗濯時にからみついてタオルが早く傷む原因になります。パイルが飛び出しているのを見つけたら、こまめに切るようにしましょう。

3.適度に洗う

しばらく使わなかったタオルを洗濯すると、かなり色落ちすることがあります。色落ちを防ぐためにも、一週間に一回くらいの頻度で使用するといいですね。

日々の生活のなかで不可欠なタオル。

私たちの暮らしの中で、タオルは水分を吸収し汚れをふき取る重要な役割をしてくれています。生まれたてのタオルは美しくてふわふわです。その後、人のカラダをせっせとふいたり、キッチンやトイレで手をふく、スポーツの後で汗をふくなど、第一線で活躍した後に傷んだタオルは、雑巾として第二の人生を歩むことも。第二の人生が早く訪れるタオルもあれば、長く第一線で活躍するタオルもあります。私たちの取り扱い次第で、美しくも、ボロボロにもなるのです。

お気に入りのタオルをみつけて、できる限り長く、心地よく使用していただけたらと思います。

お風呂のソムリエ直伝!『バスリビング』

松永 武さん

お風呂のソムリエ。温泉入浴指導員。バスリエ株式会社 代表取締役。一般社団法人HOT JAPAN 代表理事。2005年お風呂グッズの専門店開業。お風呂は洗う「場」ではなく「暮らす」空間として提唱しお風呂を通じて暮らしを豊かにするため「全人類!お風呂のソムリエ化計画」を遂行中。

また日本の風呂文化普及のため2015年一般社団法人HOT JAPAN設立。現在、日本独自の文化と言える「風呂」のユネスコ世界無形文化遺産登録を目指し活動中。

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